はじめまして! 小川製作所の小川と申します。
今回から統計データという事実(ファクト)から、中小製造業の生きる道を探っていくという連載記事を書かせていただくことになりました。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

■はじめに
 突然ですが皆さんは、先進国でわれわれ「日本だけ」労働者の給与が減っているということをご存じでしょうか? 
それどころか、国として最も重要な経済指標であるGDP(国内総生産)も停滞が続き、右肩上がりで成長し続ける世界の中で、日本だけすっかり置いていかれているようなのです。

 日本は経済規模ではまだGDP世界第3位を誇りますが、それは先進国の中で「人口が多いから」というのは多くの皆さんがうすうす気付いているのではないでしょうか。
1人当たりの経済指標を見ると、日本は今では世界のトップレベルでも何でもない「凡庸な先進国」というレベルです。
しかもこの状況が改善するどころか、現在も絶賛停滞中で、どんどん他の国に抜かされている状況なのです。まさに、「衰退先進国」とも表現できるような状況です。

 最近になり、ようやくテレビなどでもこのような事実を報道されるようになりましたが、事態はわれわれが感じているよりもずっと危機的だといえます。
このように聞くと「なぜ日本だけがこのような状況なのか」「そしてわれわれがその状況を打開できる余地があるのか」ということが、とても心配になりますね。

(中略)

■労働者が貧困化しているという衝撃
 まず私が最もショックを受けた統計データを紹介します。図1をご覧ください。
https://image.itmedia.co.jp/l/im/mn/articles/2103/29/l_kmishima_sme_fact2_w590.jpg

 このグラフは、日本人労働者の平均給与の推移です。青が男性、赤が女性、緑が男女合計のグラフを示しています。
日本人の労働者は、1997年までは右肩上がりで平均給与が増加していましたが、1997年をピークにして減少に転じています。
直近では増加傾向ではありますが、まだピーク時を超えているわけではありません。

 つまり、日本人労働者の平均給与が下がっており、貧困化しているといえるのです。
日本も他の先進国同様に、経済成長を続けていると考えていましたが、実際に統計を見てみると、このようにショッキングな事態に陥っています。

 労働者と一言でいっても、消費者としての面、納税者としての面、家族の一員としての面など、さまざまな側面を抱えており、そもそもが国民の一員です。
その国民一人一人の収入が減っているというわけですから、人口がそれほど大きく増えているわけではない日本という国の収入が減っていることが分かります。

 具体的に数字を見ていきましょう。例えば、男性労働者の平均給与は、1997年は577万円だったのが、2019年では540万円と実に約40万円も減少しています。
2020年はコロナ禍が直撃していますので、最新データが出れば、おそらく減少に転じていることでしょう。

 ただ、グラフをよく見てみると、男性に比べると女性は、やや停滞しているものの上昇基調にあります。どうやら主に男性労働者に異変が起きていることが分かります。

(以下略、全文はソースにて)
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2103/29/news006.html