https://news.yahoo.co.jp/articles/553c86bab5a42283cfdd22b48b88a923d6aa56c4
 与野党で内閣不信任決議案の提出や解散総選挙をめぐる発言がエスカレートする中、立憲民主党の福山哲郎幹事長が2021年3月30日の定例会見で、記者の質問について「なぜ野党に不信任案提出を求めるような質問をするのか」と不快感を示す場面があった。

 福山氏は、解散で「政治空白なんか作ったら、国民に怒られるんじゃないですか?」とする一方で、「解散されたら受けて立つ」とも。党としての方針を確認するための質問だったが、福山氏は「今ここで、そんなことを言う必要は、まったくないと思う」と慎重姿勢。感染者数のリバウンドが警戒される局面で、野党側が不信任案で政局を仕掛けようとしていると受け止められることを強く警戒した形だ。

■不信任案は会期末提出が慣例だが「4月中でも5月中でも」

 立場上、不信任案提出に含みを残した発言を続けているのが立憲の安住淳国対委員長。その安住氏が3月23日、記者団から不信任案提出の考えについて問われ、時期について踏み込んだ発言をした。安住氏は、不信任案は慣例では国会会期末に出すものだとしながら、

「今回は、時期はそれにとらわれないと思っている。様々な要因が重なれば4月中でも5月中でも不信任案を出すことはありうると思っている。一番大きな政局のインパクトのあるときに出したいと思っている」

と発言。6月16日の会期末を待たずに不信任案を提出する可能性に言及した。不信任案提出が解散総選挙の引き金になることは多く、自民党の二階俊博幹事長は3月29日の記者会見で、不信任案が提出された際の対応について

「私は、ただちに解散で立ち向かうべきだ、という風に進言したいと思う」

と明言。

「もちろん否決しますよ、しかし、解散を望むならね、我々は受けて立つ」
  「不信任案を出してくる限り、与党の方は解散に打って出る覚悟を持っている」

とも述べた。
「総辞職に値する」が「それこそ解散どころではない」状況

 この「進言」発言に安住氏も反応した。3月30日午前の野党国対委員長連絡会議後、ワクチンの接種が滞ったり、第4波が防げなかったりした際の対応について、

「総辞職に値をするのではないかという認識で一致した。そのために我々として取り得る行動は、ちゅうちょなく取っていきたいということになると思う」

と述べた。この発言からは「総辞職に値する→ちゅうちょなく不信任案提出」と読めるが、福山氏は違った受け止め方をしている。

 第4波到来の際の対応について、同日夕の会見で質問された福山氏は、

「率直に申し上げて、第4波が来て感染が急増して、病床が逼迫(ひっぱく)するような状況になったら、政治空白なんか作ったら、国民に怒られるんじゃないですか?そうやって正直申し上げると、私は第4波が来て、感染がどんどん増えるような状況が各地で見られるようになれば、それこそ解散どころではないと思いますよ?」

などと、コロナ禍で解散することの問題を指摘。一方で、仮に第4波が起きれば「菅内閣の政治的な責任は免れない」とも話した。その意図について、緊急事態宣言の延長や解除の際に理解可能な説明が行われなかったことや、国民に自粛生活を求める中で厚労省の職員23人が深夜まで会食していたことを挙げながら、

「そりゃ総辞職に値するでしょう?国民はそんな政権に任せておけると思うでしょうか?多分、そういう話だと僕は思いますよ?」

などと説明した。
次ページは:「不信任案を出されて野党のせいにするような解散は、まったくする必要はない」


(略)