国内有数の高原野菜産地である南佐久郡川上村は30日、技能実習先の全国の企業・農場からやむなく失踪した元外国人実習生への在留特別許可(在特)を積極的に認め、村内農家で働けるよう求める要望書を出入国在留管理庁に提出した。新型コロナウイルス感染症の影響で新たな実習生の入国制限が解かれておらず、農繁期の人手不足を予想。村は、実現すれば元失踪者、農家の双方にメリットがあると主張した。

 強制送還となる外国人の滞在を法相の裁量で例外的に認める在特を巡っては、東京入管局が今年1月以降、一部の元失踪者らに90日間の許可を出した例がある。要望書では村内農家への紹介や、受け入れ手続きの迅速化も求めた。

 村は技能実習制度の改善も要望。実習期間が1年未満の実習生(中国、タイ除く)に課せられている20・42%の高額な所得税の減税や、実習先の変更を容易に可能にすることなどを提案した。

 由井明彦村長が東京都内の入管庁を訪れ、在留管理課の財津依人補佐官に要望し、非公開で懇談した。村によると、同庁側は在特について特別な事情がない限り認められない―とした。実習制度の改善に関連し、転職可能な新たな在留資格「特定技能」による就労者を広げたいとの説明があった。

 由井村長は提出後、「引き続き現場の実情を国に伝えていきたい」と話した。自民党の井出庸生氏(衆院3区)と立憲民主党の杉尾秀哉氏(参院県区)にも同様の要望書を手渡した。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021033100022
http://www.vill.kawakami.nagano.jp/www/banner/images/1599021067074_1599020774381.jpg