※京都バス

 乗り遅れたら次の便は1年後―。年に1回しか運行しない京都バス(京都市右京区)の路線が、増加の一途をたどっている。乗客減の中で運転手不足も慢性化し、今春には計11路線になった。将来の需要増に対応するため維持されているが、新型コロナウイルス流行による観光客激減も直撃。乗客が増える要素は見当たらず「幻のバス路線」脱却への兆しは見えない。

【図表】年1本運行の路線一覧
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 「春分の日」の20日、まだ薄暗い午前6時前。京都バスの高野車庫(左京区)から、この日しか運行されない地下鉄国際会館駅行きのバスが出てきた。集まったファンら約10人が一斉にシャッターを切り、次々と乗り込んだ。乗車した男性(16)=左京区=は「めったに乗れないので早起きしてよかった」と満喫した様子だった。

 同社によると、「幻のバス路線」が誕生した一因には運転手不足がある。1日1本の運行でも人手が必要だが、一度廃止すると国の認可や住民との調整などをやり直す必要があり、再開は難しい。「将来、需要が増加した時にすぐ対応できるように」と、2012年に京都市内の4路線を春分の日の片道1本に変更した。運転手不足は慢性化し、同様の路線は年々増えている。

 17年には左京区大原から鞍馬に向かう95系統が年1回だけ走っていたルートを、新設された55系統も通るように。観光客や静原地区の住民の足として、毎日運行(現在は平日運休)に戻した。同社は「維持していたおかげで素早く対応できた」とする。

 一方、他の路線には需要増の兆しは見えない。右京区太秦の「一の井町」バス停は18年から年に1回しかバスが来なくなった。しかし、半径約300メートルの範囲内には別の路線のバス停が複数ある。同バス停近くに住む川邉政一さん(52)は「歩く距離が伸びて、少し不便になったくらい」と話す。嵐山-高雄パークウエイ(右京区)や左京区大原を走る路線は、コロナ禍での観光客激減なども重なり、利用者が見込めないのが実情だ。

 同社は「維持には鉄道の代替手段や、災害時の迂回(うかい)路確保の側面もある」とした上で、「年1本の運行は通常の姿ではない。廃止も選択肢の一つになる」と説明する。

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4/8(木) 11:46 京都新聞
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