人権侵害に関与した外国の当局者へ制裁を科す議員立法制定を検討する超党派の議員連盟が6日、国会内で設立総会を開いた。米欧の主要国は制裁するための法的な枠組みをもつ。
日本も中国のウイグル族の人権問題で対中制裁に踏み切った米欧に足並みをそろえるよう促す。

3月の設立準備会合に参加しなかった公明党の議員も加わった。議連は「人権侵害制裁法案の成立に向けて検討する」との決議を採択した。具体的な法案の内容を詰める。

議連の共同会長に自民党の中谷元・元防衛相、国民民主党の山尾志桜里氏が就いた。
中谷氏は「日本だけ逃げていると思われないよう、口先だけでなく行動できる形をとるのが必要だ」と主張した。

ミャンマー、中国の新疆ウイグル自治区、香港、内モンゴル自治区、チベット自治区を挙げて「深刻な人権侵害が続いている」と説いた。

人権侵害に対し制裁を科す法律は海外で「マグニツキー法」と呼ばれる。米国やカナダ、英国、欧州連合(EU)はこうした制度を整えた。
主要7カ国(G7)で人権侵害のみを理由に制裁する法律がないのは日本だけだ。

政府は慎重姿勢をとる。加藤勝信官房長官は6日の記者会見で「日本の人権外交の進め方や国際社会の動向を不断に分析し、検討していく必要がある」と述べた。

立憲民主党や共産党の議員らも6日に「『人権外交』を推進する議員連盟」を発足させた。
会長の中川正春・元文部科学相は「政府の姿勢は物足りない」と語り、香港の民主化運動への弾圧などでの日本外交の役割を探る。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA062X00W1A400C2000000/