ようやく、12日からスタートした高齢者の新型コロナワクチン接種。日本の接種は、ほかの先進国と比べて2周遅れ、3周遅れだ。

英オックスフォード大などの10日時点の調査によると、少なくとも1回接種を受けた人の割合は、
日本は全人口の0.87%。日本を除くG7は、いずれも10%を超えている。イスラエルは61.35%、アメリカは35.03%だ。

ワクチン接種の大幅な遅れで懸念されているのが、景気回復の遅れだ。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏がまとめたリポート「ワクチン接種率で決まる世界経済」は衝撃的だ。

永濱氏は、人口あたりワクチン接種率を説明変数、PMI(購買担当者景気指数)の水準を被説明変数として分析。
ワクチン接種率とPMIには明確な関係があったという。とくに、サービス業PMIとワクチン接種の関係は顕著だった。

PMIは、経済統計の先行指数として知られている。

実際、ワクチン接種が進んでいる国は、景気も回復基調だ。アメリカのPMIは、2021年3月には60前後まで上昇している。
一方、日本のPMIは主要国で唯一分岐点の50を下回っている。

「アメリカの経済が回復基調なのは、3月11日に成立した1.9兆ドルの財政刺激策のうち、総額4100億ドルの現金給付がはじまったことが一因です。
それに加えてワクチン接種が進み、集団免疫獲得の期待が高まっていることも大きい。日本人は良い意味でも悪い意味でも慎重な国民だけに、
日本経済を正常化に近づけるためには、諸外国以上にワクチン接種に伴う集団免疫獲得の必要性があると思います」(永濱利廣氏)

最悪なのは、日本だけが景気回復から取り残されると、さらに不況が悪化する恐れがあることだ。

「ワクチン接種によって集団免疫が獲得されたら、欧米の経済政策は“出口”に向かうでしょう。
その時、景気が回復していない日本も“出口戦略”を取りかねない。もともと、財務省と日銀は“出口”を模索していますからね。
しかし、まだ経済が正常化していないのに、緊縮財政や金融の引き締めに転じたら、日本経済は正常化するチャンスを失うことになります」(永濱利廣氏)

経済を回したいなら、GoToよりワクチンだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/287847#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3