https://news.yahoo.co.jp/articles/02f9a61ef2e386185c7baac907241b806e4fa29a
(CNN) 中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)の高福主任はこのほど、中国製の新型コロナウイルスワクチンの有効性は「高くない」との見方を示した。異なるワクチンの接種との混合を含め防御効果を高める選択肢を検討しているという。

【画像】ワクチン外交を進める王毅外相

高氏は9日、南西部の成都市で行った記者会見で、「現行ワクチンの防御率は高くない」と述べた。

解決策として2つの選択肢を提示。一つは投与回数を増やすか、投与量または投与間隔を調整するというもので、もう一つとしては別の技術で開発されたワクチンを混合させる方法が考えられる。

中国製ワクチンの有効性は理想的な水準に届かず、防御効果を高めるために改善が必要だと高氏が公に認めるのは異例。

中国は自らを新型コロナワクチンの開発と流通のリーダーと位置付けており、インドネシアやジンバブエ、トルコ、ブラジルを含む世界各国に対し同国のワクチンの使用を促し、供給している。

中国の王毅(ワンイー)外相は3月の記者会見で、「これまでに60カ国以上が中国製ワクチンの使用を承認した。中国製ワクチンの安全性と有効性は様々な国によって広く認識されている」と述べた。

だが、中国製ワクチンの有効性が比較的低いと信頼度が低下し、中国の「ワクチン外交」の妨げになる可能性がある。

民間企業シノバックが開発したワクチンは、ブラジルで行った臨床試験(治験)で有効率がわずか50.4%にとどまった。トルコで行った別の治験では83.5%の有効性だった。国営シノファームが開発した2つのワクチンの有効性は79.4%と72.5%。

一方、米ファイザー・独ビオンテック連合や米モデルナが開発したワクチンはそれぞれ、97%と94%に上る。

アラブ首長国連邦(UAE)は3月、シノファームのワクチンを2回接種した後も十分な抗体ができなかった住民に対し、3回目の接種を始めた。

中国製ワクチンの低い有効性に関する高氏の発言はよく知られた事実を述べただけだが、中国高官がそれを公に認めるのは初となる。

だが、高氏の発言がソーシャルメディアで話題になると、中国側はすぐにネット上の議論を検閲し、国営メディアは高氏のインタビュー記事を消した。

国営紙の環球時報は高氏に関する報道は「完全な誤解」であり、「世界でのワクチンの防御率は高かったり低かったりする。その有効性をどう改善するかは世界中の科学者が考える必要のある問題だ」と高氏が述べたと伝えた。

中国の衛生問題に詳しい専門家は、環球時報の報道は中国当局は公式見解に相違するものは許さないという姿勢を表すものとの見方を示している。
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