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三 まづ經濟戰が主眼

イギリス本国のランカスター公領大臣といふ閑職に情報大臣から轉じたダフ・クーパーが極東探題として
シンガポールに本據を据ゑ、政治經濟を一手に掌理するが、彼の下には
經濟戰省極東分局主任サムソン(元駐日大使館員)があり、バタビヤ、バンコック、サイゴンに
それぞれ特派商務官を派してゐる。
アメリカも亦、これと協力するために海事委員會のゲックヒル大佐がシンガポールで事務所を開設した。
これら經濟戰の尖兵は重慶と結んで南洋企業公司を設立したり、
仏印ド・ゴール派の頭目シャルル・バロンとともに仏印の舊經濟勢力を利用して日仏印經濟接近を妨害したり、
またタイ内部の根強い英米資本の反日的操作をしたりしてゐる。
當面の情勢では、軍事以上に注目すべき現象である。