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ところへ支那事變の勃發である。
日本軍は優勢また優勢、イギリスの希望に反して、北支、中支を席捲し、つひに南支にまでその戰果を擴大し、
香港などは直接背後を脅威されるに至ったので、不安焦燥は極點に達したが、
艦隊を極東に増派して日本を牽制することは、ドイツの蹶起により歐洲の情勢が許さない。
とても手がまわらない。

否でも應でもアメリカが拝み倒して、極東の番犬としなければならないし、
蔣介石を極力援助して日本の消耗を圖らなければならない、
またソ聯を誘って北からの日本威壓をしなければならない、といった情勢に立ち入ったのである。

そして傳統的な操縦外交の魔手を以て、包圍陣形勢に狂奔した。