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アメリカは去る5月マニラにあるアメリカ極東空軍司令クラゲット少将を空軍使節として重慶に派遣し
實情を調査すると共に種々の打合せを行ったが、大体常備800機を目標とし、各地に飛行機組立工場を急設、
飛行教官、飛行士の増派、マニラにおいて支那人飛行士を速成、長距離爆撃機を空輸等の案が出來、
すでにこれは實行にうつされつつあり、アメリカ人飛行士もまづ31名が重慶入りをした。
アメリカの對支借款1億8千萬ドルの軍需品、飛行機は相當の額に上り、
これらは、シンガポールで組立てビルマ・ルート上を空輸する一方、ラングーンに陸揚げの分はラシオで組立てる。
また最近インドのマイソール州バンガローに大飛行工場が完成したのでますます空軍の補給は活潑となるだらう。

英米はかうして重慶空軍の増強を積極的に援助してゐるばかりではない。
前述のクラゲット少将の重慶訪問と前後して、英米自身のための空軍基地を蔣に求めてゐるのだ。
飛行機の供給も、飛行士の大量派遣も、みなその時の用意だ。
從ってABCD線一旦火を吐く曉には、奥地支那に英米空軍勢力が進駐することは當然に豫想されることである。