https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041600987&;g=eco

政府は16日、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水放出をめぐり、風評被害対策の検討を本格化させた。
2年後をめどとする海への放出開始に向け、地元産業の振興や正確な情報発信を強化。「必要な予算はちゅうちょなく確保する」
(加藤勝信官房長官)構えだ。
 
同日午前、農林水産業の風評被害対策や賠償方針などを協議する閣僚会議の初会合を開いた。
夏をめどに課題を整理した中間報告をまとめ、年内にも、放出の開始以降も見据えた中長期的な行動計画を策定する。
 
梶山弘志経済産業相は終了後の記者会見で、風評被害への賠償に関する東京電力ホールディングス(HD)への指導や、
漁業者の支援策などを検討する「特別チーム」を新たに省内に設置すると表明。被害の立証責任を一方的に負わせることなく
「漁業者側の言い分が理解できるチームをつくる」と支援に注力する姿勢を強調した。
 
他省庁では、厚生労働省が食品の安全性について情報を発信。復興庁は外国人向けポータルサイト、
外務省が海外報道機関などへの説明会を通じて海洋放出への理解を求める。環境省は海洋でのトリチウム濃度のモニタリング調査を実施する。
 
産業振興では、農林水産省が福島県産品の販路拡大やブランド力向上、国土交通省が県内への観光客誘致などを支援する方針だ。
一連の施策は今後、予算編成にも反映させる。
 
一方、海洋放出に地元漁業者らの理解を得られるめどは立っておらず、中国なども反発している。
全国漁業協同組合連合会は「安心して漁業が継続できる方策を国の責任で示すことを求める」との声明を公表。
国内外の観光客誘致に影響しかねないとの不安も残る。