日本では、新型コロナウイルスの感染の収束がなかなか見通せない。
それどころか、緊急事態宣言の再々発動も警戒されている。

いま「アフターコロナ」を口にすれば、絵に描いた餅だと笑われるかもしれない。
しかし、世界では「アフターコロナ」はすでに始まっている。

中国ではアフターコロナが進んでいる。2021年の実質経済成長率見通しは前年比8%以上だ。
日本の自動車メーカーは、中国の現地法人で売り上げを急伸させている。

コロナを収束させた中国では、他国より経済対策が効きやすい。
ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も、旺盛な中国需要に引きずられて成長率を高めている。

中国と対立する米国は、まだ感染を抑えられずに苦しんでいるが、急速にワクチン接種が進み、
その効果が景気の様相を変えようとしている。またバイデン政権は、超大型の財政出動を行い、
3月から1人1400ドル(約15万円)の現金給付が始まった。

ワクチンへの期待に財政効果が加わったことで、企業の景況感は急速に改善している。

世界の2大大国が、アフターコロナに動き出したことは、日本にも影響を及ぼしている。
特に製造業は、業績が上方修正されて景況感の改善が著しい。国際物流でも、海上と航空双方の貨物輸送が改善している。

アフターコロナの需要増とは、貿易取引の活発化と、企業の投資再開の二つが主役になるだろう。
21年前半は、これまで停滞していた企業活動が再開する分、生産活動が活発化し、製造業の利益が上積みされやすいとみる。

逆に、生産再開が急すぎて、原材料や部品などの供給にボトルネックが生じ、思うように活動ができない障害も心配されるくらい…


熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210420/biz/00m/020/008000c#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3