東洋経済オンライン 4/26(月) 6:01


 2019年4月に年5日の有給休暇取得が義務化された。罰則を伴う義務化ということもあり、より一層有給休暇の取得推進に取り組んだ企業も多かっただろう。しかし、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、「余暇を楽しむ」ための休暇は取りづらい環境が続いている。

 では、実際に有給休暇の取得義務化はどれほど効果があったのだろうか。今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2021年版に収録している各企業の有給休暇取得率の最新データ(2019年度基準)を基に、取得率の高い200社をランキングした。

 なお、本ランキングは同誌の掲載企業1614社のうち、3年連続で有給休暇取得率を開示している1113社を対象とした。平均付与日数が10日未満の企業は対象外としている。取得した有給休暇には前年度繰り越し分も含めるため、有給休暇取得率は100%を超える場合がある。

■取得率トップはDMG森精機

 1位はNC旋盤・マシニングセンタ大手のDMG森精機だ。繰り越し消化分も含め、3年平均取得率は101.5%と完全消化状態。昨年の10位から大きく順位を上げた。さらに同社は、2022年5月までに有給休暇の平均取得日数を25日まで増やすとしている。

 2位のホンダは本ランキングでも上位常連だ。1970年代から有給休暇の繰り越し消化をなくす「年次有給休暇カットゼロ運動」に取り組んでおり、有給休暇の連続取得奨励制度も導入している。

 3位のトヨタ系部品大手のアイシンも、有給休暇のカットゼロ運動を展開しており、最低年14日の有給休暇取得に取り組んでいる(組合員が対象)。

 4位は関西電力だ。中期経営計画(2019-2021年)に掲げた「有給休暇取得率90%以上」という目標を着実に達成している。

 5位はホンダ系部品メーカーのテイ・エス テック。半日単位の有給休暇取得制度の拡充などを進め、着実に取得率を向上させている。

 6位も同じくホンダ系部品メーカーのケーヒン。なお、同社はショーワ、日信工業とともに、日立オートモティブシステムズと合併し、2021年1月に日立Astemoとなった。合併後も高い取得率を維持できるかが注目される。

 そのほか、7位にコマツ、8位にダイハツ工業、9位に京浜急行電鉄、10位に東海理化がランクインした。

 今回もホンダ系を中心に、自動車関連企業が上位にランクインした。一般的に、業務計画を立てやすい製造業のほうが、非製造業よりも計画的に有給休暇を取得しやすいとされる。本調査の業種別取得率を見ても、輸送用機器関連企業の77.3%に対して、倉庫・運輸関連業、建設業、小売業などは50%以下だ。業種ごとに差があることがわかる。

 しかし、非製造業でも有給休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んでいる企業はある。

 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、41位(87.7%)でサービス業トップだ。同社では、嘱託社員や準社員などの有給休暇取得率が毎年90%以上となっており、社員よりも高い。

 百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングスも81位(82.5%)と健闘した。同社では連休用の休日を設定し、通常の有給休暇と合わせて1週間の連続休暇が年4回取得可能だ。2020年4月からは半日有給休暇制度を導入し、今後は平均消化率90%を目指すとしている。

 また、一般的に激務のイメージが強い商社でも、住友商事は54位(85.1%)と上位をキープしている。同社は2016年から有給休暇取得日数の定量目標を設定している(2019年は16日)。なお、2020年からは「自律的な働き方の実践」として、定量目標を設定せず、各組織や個人の自己管理としている。

■取得率は56.3%と過去最高

 厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」によると、有給休暇取得義務化の効果もあってか、2019年の平均有給休暇取得日数は10.1日、取得率は56.3%と過去最高となった。「2020年に70%」という政府目標とは大きな乖離があるが、取得率は右肩上がりだ。

※続きはリンク先で
村山 颯志郎 :東洋経済『CSR企業総覧』編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f66b6e146ba88c0b5171eb31892efc7c522f7f1
「有給休暇」の取得率が高い会社ランキング1〜5位
https://i.imgur.com/RAwSRkO.jpg