新型コロナウイルスの感染拡大で大阪など4都府県で緊急事態宣言の期間に入った25日、滋賀県内では琵琶湖岸や主要な観光地で県外からの来客が目立った。

 三日月知事は宣言地域からの不要不急の来県自粛を求めているが、効果は限定的のようだ。

 県外からの利用客が多い湖岸緑地。草津市内の複数の駐車場はこの日午前9時30分頃までにほぼ満車に。京都、大阪など県外ナンバーが大半を占め、駐車スペース外に車が並ぶケースも。芝生にはテントが連なり、釣りなどを楽しむ家族連れらでにぎわった。

家族で訪れた京都府宇治市の会社員男性(40)は「滋賀県が来県自粛を求めていることは知っており、申し訳ない気持ちもあるが、屋外は密になりにくく許してもらえると思う」。親子で訪れた京都市の自営業男性(36)は「京都の公園は狭くて密になりやすい。ここなら他人との距離もとれるので、コロナはあまり気にしていない」と話した。

 一方、湖岸近くの住民は困惑気味。散歩中の男性(72)は「滋賀でも患者が増えており、心情的には宣言地域から来てほしくない。大型連休に入るともっと増えるのでは」と表情を曇らせた。

県は昨年の大型連休中、湖岸や都市公園の駐車場を閉鎖した。三日月知事は「県民の利用もあり、できるだけ閉鎖したくない」との考えを示す。

 しかし、最近は患者数が急増し、駐車場閉鎖を求める声も県に寄せられていることから、県は24、25両日、湖岸緑地や公園の見回りを実施。指定管理事業者のスタッフらがマスク着用を促すなどした。◇

 バウムクーヘンの販売で人気の大型複合施設「ラ コリーナ近江八幡」(近江八幡市)。駐車場は大阪、京都、神戸ナンバーが多くを占めたが、空きスペースもみられた。広報担当者は「緊急事態宣言の影響か、いつもの週末の6、7割ほどで、カフェなどの列も通常より短い。来客が減るのは困るが、密になるのも避けたい」と複雑な心境を吐露した。

 従業員はマスクの上にフェースガードをつけ、カフェの入場制限をするなど、感染対策を徹底して営業を続けるという。

 長浜市の「黒壁スクエア」でも家族連れらが買い物などを楽しんだ。奈良県生駒市の会社員男性(53)は「滋賀は緊急事態宣言の対象外なので、大型連休で混む前に来た」と話した。

 黒壁スクエアを運営する第3セクター「黒壁」によると、コロナ以前と比べると来客はほぼ半分に落ち込んでいるという。佐藤泉広報室長は「コロナ以降、遠出を避ける傾向が強まったのか、県内客の割合が増えた。人出がこれ以上大幅に減ることはないと思う」と話していた。
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