https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82991?page=3 (全文はリンク先)
基本的な現行の医療体制で対応できると思うが、
万が一に備えて念には念を入れておくのもいい。

国内のワクチン接種体制で、ネックになりうるのが、打ち手の不足である。

ワクチン接種の打ち手は、現行医師法では、
医師又は医師の指示の下で看護師等
(保健師、助産師、看護師若しくは准看護師)が行うとされている。

しかし、4月26日、通常では考えられない措置が政府から打ち出された。

その内容は、医師等の資格を有さない歯科医師が
ワクチン接種のための筋肉内注射を行うことは医師法第17条に違反するが、
今回、(1)歯科医師の協力なしにはワクチン接種ができない状況にある、
(2)筋肉内注射の経験か研修を受けている、
(3)被接種者の同意という条件があれば、医師法第17条との関係では
違法性が阻却され得る、というものだ。

率直にいえば、違法ではあるが、超法規的措置で違法でない、というのだ。
本来、違法かどうかは裁判所が判断するもので、政府は言い出せないはずだから、
いみじくも超法規的措置といってもいいだろう。

筆者は役人を長くやってきたが、こうした措置は滅多にお目にかかれない。
1975年の在マレーシア・アメリカ合衆国大使館等占拠事件と、
1977年のダッカ日航機ハイジャック事件での収監メンバーなどの引き渡しを
「超法規的措置」としてやったくらいしか思い浮かべられない。

本来であれば、まず憲法改正により、非常事態条項を整備しておくべきだ
。他の国にはそうした条項があるので、厳しい規制が可能だが、
日本ではそうした条項が憲法にないので、
世界の国の中ではもっとも緩い規制しかできない。

各国の施策について、行動制限がどれだけ厳しいかを指数化したものが、オックスフォード大から公表されているが、それをみると、新型コロナへの危機感が高まり、各国とも最高レベルの規制をした1年前でも、日本の厳しさは世界最低レベルだった。

ただし、法律に従って人の命を諦めるか、法律を無視しても人の命を守るかという究極の選択としてみれば、4月26日の超法規的措置は理解できる。

この「通達」の応用をすれば、米国で行われている薬剤師、
英国で行われている研修生も可能だろう。もっといえば、
獣医師にも広げることもできるだろう。

こうした話について、筆者は先週5月8日(土)の朝日放送で紹介した。
みんなは、そのような報道を見たことがないと驚いていたが、
地上波はもっとこうした報道をしたほうがいいだろう。