東京都とIOCの開催都市契約には、〈本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合〉はIOCの裁量で大会を中止できると定められている。小池氏が「開催都市の知事として選手の安全を保障できない」と中止を求めれば、IOCも受け入れざるを得ないはずだ。

 その場合、巨額の賠償金も心配いらない。五輪問題に詳しい作家の本間龍氏が指摘する。

「東京五輪を中止するとIOCやスポンサーに莫大な違約金を払わなければならないと言われているが、開催都市契約には中止=違約金という規定はありません。日本の判断で中止になった場合、放映権収入がなくなったIOCが損害賠償の民事訴訟を起こす可能性があるということでしょう。しかし、開催都市契約では保険加入が義務づけられており、IOCや組織委員会は中止などに備えて20億〜30億ドルの保険をかけていると見られる。その保険金でかなりカバーされるはずです」

 IOCと政府の「死の行軍」を止める小池爆弾なら都民も大歓迎かもしれない。

写真/時事通信フォト、共同通信社