日経ビジネス(2021.5.12)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00294/050700003/?n_cid=nbpnb_mled_mpu

 「コロナ禍によって少子化は、従来の予測より18年早送りされた」。人口減少社会の日本で今後起きることを明示した『未来の年表』(講談社)の著者で、人口減少対策総合研究所の河合雅司理事長はこう警鐘を鳴らす。

 その主張の根拠は結婚と妊娠の急減だ。厚生労働省によると、2020年の婚姻件数は約53万8000件と前年から12.7%減少した。自治体に届け出る妊娠届も20年5月に前年同月比17.6%減を記録。以来、件数が公開されている10月まで連続1.0〜10.9%の前年割れとなり、5〜10月を通しで見ると前年同期比8.2%減となった。その後もほぼ同様の状況が続いたと思われる。

 「披露宴すら開きにくいコロナ禍で結婚を延期したり、医療態勢のひっ迫が伝えられる中での出産を避けようと妊娠を躊躇(ちゅうちょ)したりしている夫婦が増えたことなどが影響している」と河合氏。この結果、21年の出生数は75万人程度に減る可能性があると予測する。20年は過去最低の84万人台と河合氏は試算するが、さらに大きく減る計算だ。

 一般的に少子化スケジュールの試算に使われる国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、出生数が75万人台まで減るのは39年のはずだった。21年にそうなれば、確かに少子化は18年早送りされた格好。河合氏はこの状況を「ベビーショック」と表現する。

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