感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株「N501Y」。宮城県と仙台市は18日、直近1週間のスクリーニング(ふるい分け)検査で、感染の広がりを示す陽性率がいずれも9割を超えたことを明らかにした。首都圏や関西圏で猛威を振るう英国由来の変異株が、県内でも急拡大しているとみられる。【藤田花】

 スクリーニング検査は、新型コロナへの感染が判明した患者のうち、4〜5割の検体を抽出し県保健環境センターや仙台市衛生研究所、民間の医療機関などで実施している。

 県によると、県内のN501Yの陽性率は約1カ月前の4月19日の週は12・9%だったのに対し、26日の週は49・1%、5月3日の週には55・3%に急増。直近1週間(5月10〜16日)の陽性率は91%まで跳ね上がった。

 仙台市の陽性率も4月19日の週は17・9%、26日の週は47・6%、5月3日の週は49・1%と右肩上がりに拡大していき、直近1週間は調べた検体の91・3%からN501Y変異が確認された。

 国立感染症研究所によると、N501Yの感染力は従来型の1・32倍で、高齢者以外でも重症化する割合が高いのが特徴。県疾病・感染症対策課の担当者は「陽性率の増加傾向を見ると、今後変異株の拡大が収束するとは考えづらい」と指摘し、医療崩壊を防ぐためにも「これまでの対策をより感度を上げて徹底してもらいたい」と呼びかけている。

 N501Yの急速な広がりについて、村井嘉浩知事は10日の定例記者会見で、県南地域での感染確認が増加しているとして「変異株の影響で感染者が出た場合、爆発的に増える可能性がある。濃厚接触者を特定して速やかに検査を行うことが重要だ」と述べた。

 仙台市の郡和子市長も18日の会見で、「変異株の拡大が顕著に出てきている。直近は9割以上N501Yが確認され、大阪や北海道のような爆発的拡大につながりかねない」と危機感を示した。

毎日新聞

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