各自治体の社会福祉協議会(以下、社協)が窓口となった緊急小口資金と総合支援資金は無利子の貸付、つまり借金だ。

「緊急小口資金」が一度のみ最大で20万円受けられる貸付なのに対し、「総合支援資金」は15万円(複数世帯は20万円)の貸付を3か月間受けることができる。申請期限はその後、9月末、12月末、3月末、来月6月末と4回延長されている。

また総合支援資金については、貸付期間も最大9か月間までのびたため、緊急小口と総合支援資金を全部利用すれば、借受人は合計で最大200万円の借金を国からすることになる。

「社協の貸付を申請する人の多くは、すでにほかのカードローン、クレジット、リボ払い等も満額で借りている人が少なくない。社協の貸付を実際にほかの債務の返済に充てている人も多いと思われます。
カードローンを含めた月の収支で組み立ててしまっている人が多いし、光熱費、携帯代金、家賃などのライフラインもクレジット払いにしている人も多く、社協の貸付が止まった途端にほかの債務の返済もストップし、ライフラインを断たれてしまうことに不安を感じている人も少なくないのです。」(社協職員)


非正規で不安定就労の東京23区在住の単身者Aさんの月収が10万円前後だとする。
この人がコロナ中に仕事を失っていて、社協の貸付を満額の155万円借りていたとしたら、その後の返済額は以下のとおりとなる。

緊急小口資金 月々8,300円の返済(20万円の24回払い)
総合支援資金 月々7,500円の返済(15万×6か月を120回払い)
総合支援資金の再貸付 月々3,750円(15万円×3か月を120回払い)

考えてほしい。10万円前後の収入しかない人が、家賃も、税金も、携帯代金も払って、生きるための食事もし、加えて上記の返済をしたら、果たしてその人は生きていけるだろうか?


これまでに貸し付けた8,765億円はすべて免除にするくらいの覚悟で臨まないと、一年以上にもわたるコロナ禍のロスは、取り返しのつかない命のロスとなって国に跳ね返ってくる。

今こそ、国中に行きわたった「自己責任」の呪いを解くときだ。そして、海の底に隠した公助の箱を引き上げ、開くときだ。

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2021/5/23
https://www.jprime.jp/articles/-/20913