都が二〇一八年四月から全職員に出先事業所も含め庁舎内などを禁煙にしたのに反し、交通局品川自動車営業所(品川区北品川)で都営バスの運転手らが隠れてたばこを吸っていたことが分かった。現在、禁煙は守られているが、同局は「公務員としての自覚を徹底したい」としている。

 同営業所には都営住宅が併設され、一階が車庫の一部となっている。同局によると、以前は喫煙所があったが、一八年四月に閉鎖し敷地全体も禁煙とした。ところが一部の運転手や事務職員が建物裏のスペースで喫煙を続けていた。一九年七月に近隣の人から指摘され、営業所は禁煙の張り紙をして注意。その後、喫煙者は物置に囲まれて外部から見えない別の狭いスペースで吸っていた。

 しかし昨年四月、都営住宅の住民がたばこの臭いに気づき、苦情を寄せた。運転手の一人は「空き飲料缶を灰皿代わりにし、吸い殻はレジ袋に入れて放置していた。喫煙者は場所を変えて吸っていた」と明かす。

 世田谷区の市民団体「行革一一〇番」が今年二月、都議会に実態調査を求めてから喫煙はなくなった。後藤雄一代表は「降車後に一服したいのだろうが、隠れて吸うぐらいなら禁煙教育を徹底しながら暫定的に喫煙場所を設けたほうが安全ではないか」と語る。

 同局の調べでは、喫煙者は二十五人に上り、厳重注意した。自動車部の和田明管理課長は「職場内全面禁煙に取り組んでいる中で一部職員の喫煙を遺憾に思います。近隣の住民の方にご迷惑をおかけし、おわび申し上げます」と話した。

2021年5月28日 東京新聞
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