2021年6月1日 13:00

【サンパウロ=外山尚之】南米ペルー政府は5月31日、新型コロナウイルスの累計死者数を従来の2.7倍となる18万764人に修正したと発表した。人口あたりの死者数は世界最多となる。感染拡大のペースに医療体制が追いつかず、検査が不十分だったとしている。

今回の修正により、人口100万人あたりの死者数は5000人を超える。英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、ハンガリー(約3000人)やブラジル(約2200人)を大きく上回り、世界最多となる。

貧富の差が大きいペルーは医療体制が脆弱で、2020年の第1波では医療従事者用のマスクや手袋などの医療物資が不足するほか、遺体安置所が足りなくなるなどの混乱が各地で発生していた。

死者が過少申告されているとの指摘を受け、ペルー政府は独立した調査委員会を立ち上げていた。ベルムデス首相は31日に最終報告書を受け取り、「今日から我々はより網羅した数字を手に入れる」と発言。基準や検査方法を6月1日から見直すとしている。

ペルーの足元の感染状況は4月に記録したピークの6割程度にとどまり、南米の周辺国に比べて一見落ち着いている。しかし、検査体制が不十分なため、正確な状況は不透明だ。ワクチンの接種も遅れており、今後も被害が拡大する懸念がある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN013CQ0R00C21A6000000/?n_cid=SNSTW001&;n_tw=1622520462