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東京オリンピックは「ヤクザ・オリンピック」? : 米メディア報道
https://www.theheadline.jp/articles/17
公開日 2014/02/14 12:49

無料記事 / 政治・国際関係

目次
暴力団とJOC副会長
クリーンで犯罪の無いオリンピック

2020年の東京オリンピックが「ヤクザ・オリンピック」になるかもしれない。こんな衝撃的な見出しが、米・ニュースサイト「Daily Beast」に踊った。
同サイトの調査報道記者ジェーク・エーデルスタイン氏は、日本で開催されるオリンピックの関係者とヤクザのつながりを報告。 また、アメリカ政府のブラックリストに登録されているヤクザが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長に就任した森喜朗元首相と関係をもっていたとされる過去の報道を紹介した。

暴力団とJOC副会長

エーデルスタイン氏は、長年暴力団などの取材を続けてきた記者として知られている。 死の脅迫を受けながらも「ヤクザ」の取材を続ける同氏が新たに目をつけたのは、オリンピックとの関係だ。

米国で「ヤクザ」の存在が広く知られているのは、米財務省が2012年に指定暴力団・二代目住吉会会長である福田晴瞭の資産を凍結したためであるが、記事によればこの福田会長とJOC副会長田中英寿氏は深い関係を持っており、以下の様に指摘されている。

田中英寿氏は、過去に福田会長と良き友人であった。いくつかのドキュメントによれば、彼は日本最大の犯罪グループである山口組のボスの1人や、他の暴力団の構成員とも友人関係である。

また、記事の中ではこれまでに毎日新聞や週刊文春によって、森喜朗元首相が暴力団と関係があると報じられてきたものの、元首相は組織委員会会長に就任していることも指摘。

オリンピックによって生み出される38億ドルもの建設関連費用が、ヤクザにとっても旨味のあるビジネスチャンスであり、オリンピック関係者に彼らとの繫がりある人間がいることの意味が示唆されている。


クリーンで犯罪の無いオリンピック

この記事では、森元首相や田中氏が、現在はヤクザと関係を持っていない可能性もあるとしながらも、「日本側が、この問題を真剣に検討することを願っている」という米国政府当局者のコメントを紹介。

2020年のオリンピックは「クリーンで、犯罪とは無縁」であると述べた安倍首相の言葉を振り返っている。

日本が2020年に向けて抱えている問題は少なくない。現在開催されているソチオリンピックでは、ロシアが抱えている様々な問題—それは西側ではウクライナやチェチェンの問題であり、国内では同性愛者への法律など人権問題がある—が開催前に(ほんの少しばかり)注目を集めたが、日本も同様の立場になる可能性もゼロではない。

安倍首相は、プレゼンテーションにおいて汚染水は「完全にブロックされている」と豪語したが、実際は悲惨な状態だ。その外交政策も靖国問題を契機として、アベノミクスにとって代わる主要トピックとなってしまった。

そうした中でNHKは、圧力や自己検閲の危機にさらされていると認識されており、報道の自由度ランキングは下降の一途だ。

果たして2020年までに、日本は胸を張れるオリンピックをつくれるだろうか?

それは、会場の整備や開会式の演出の問題ではない。福島第一原発事故に対して責任を持って対処し、国際社会に懸念を与えている東アジア情勢をより良い方向へ進めることができるような、自由と透明性に裏打ちされた日本社会をつくり出せるか、という問題なのだ。

もちろんそのためには、東京オリンピックが「ヤクザ・オリンピック」ではないことを政府やJOCが明確に証明する必要があるだろう。

Photo : www.flickr.com

http://www.thedailybeast.com/articles/2014/02/07/the-yakuza-olympics.html [↩]

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