北東シベリアの永久凍土から見つかった多細胞生物「ヒルガタワムシ」が、科学者の手により2万4000年ぶりに息を吹き返しました。ヒルガタワムシはクマムシなどと同じく「 クリプトビオシス」状態となることで知られ、多細胞生物が何万年も眠っていられることを示す新たな証拠が示されたと科学者は発表しています。

ロシアにある土壌低温学研究所のリュボフ・シュマコワ氏らは、シベリア北東部の アラゼヤ川の中流域、深さ3.5mの地点から土壌のサンプルを収集しました。回収した土壌は氷の多い ローム層を含んでおり、微生物の存在が期待されていました。

サンプルからは多数のワムシが検出され、解凍されたいくつかのワムシは通常どおり動き出し、摂食行動をとったとのこと。以下の画像をクリックすると解凍されたワムシが動いている様子が確認できます。


シュマコワ氏らが土壌のサンプルを放射性炭素年代測定と加速器質量分析により分析した結果、土壌が永久凍土に閉じ込められたのは2万3960年〜2万4485年前だと判明したとのこと。また、解析の結果、発見されたワムシはヒルガタワムシの一種・Adineta vagaに近い種だということも判明しています。

以前の研究では、ワムシは冷凍すると最大10年間生存できることが知られていましたが、今回の研究により、ワムシはかなりの長期間生存できるということが明らかになりました。共著者のスタス・マラヴィン氏は「多細胞生物が数千年もの間凍結しても再び生き返らせることができるというのは重要な発見で、多くの小説家の夢でもあります。もちろん、生物が複雑であればあるほど生きたまま冷凍保存するのは難しく、哺乳類は現時点では不可能ですが、単細胞生物だけでなく多細胞生物でも長期間生存できることが分かったのは、大きな前進です」と語っています。

https://gigazine.net/news/20210608-bdelloid-rotifers-revived-24000-years/