6/13(日) 14: 59

政府が実施を呼び掛けている新型コロナウイルスワクチンの職場接種で、全日本空輸は13日、羽田空港で接種を始めた。企業として初の実施例とみられる。依然として海外では感染状況が深刻な国も多く、水際対策の観点などから国際線の乗務員ら計1万人を優先させる。日本航空も14日に職場接種を開始。今後、先行していた医療従事者や高齢者以外の接種が加速する。

「新型コロナウイルスのワクチン接種は初めてですか」

接種会場となった羽田空港内の会議室。集まった全日空の国際線のパイロットや客室乗務員ら計50人に、医師が次々と問診を行っていく。

接触を極力避けるため、接種は5人ずつのグループに分けて実施。接種スペースでは接種対象者が順次、半袖の制服を肩近くまでたくし上げ、二の腕にワクチンを注射されていた。

それまでに要した時間は数分程度で、接種後に副反応などの経過を見るため、それぞれ15分間待機した。

英ロンドンや独フランクフルトなどへの就航便を担当する機長の広田佳昭さん(54)は接種後、「普通の注射といたって同じだった。接種率が上がり、収束に向かってほしい」。客室乗務員の田村奈々美さん(50)は「私たちが接種することで、お客さまにより一層の安全と安心を提供できれば」と話した。

まず1日300人程度のペースで接種を行い、順次増やしていく方針。最終的に全国のグループ会社社員らを含め約4万6000人に実施する。産業医や看護師、保健師ら計10人程度が担当するという。

全日空は当初、政府が実施可能とした21日からの開始を申請したが、感染拡大地域との往来が避けられない国際線の乗務員への対応を急ぐ必要があると判断。政府も協力し、日程を前倒しした。

同社の平沢寿一企画室長は「速やかな接種のため、急ピッチで対応した。海外の多くの地域でワクチン接種が経済回復につながっている。ワクチン接種は今の日本の最大の課題。接種率向上のため、少しでも貢献したい」と話した。

日本航空も14日に羽田で国際線乗務員への接種を開始。最終的にグループの社員約3万6000人を対象とする予定。

職場接種は自治体での接種を補完する役割があり、米モデルナ製のワクチンを使う。11日午後5時時点での政府集計によると、同時に受け付けが始まった大学などを含む接種申請は予定者数で約907万人分、会場数では計1821件に上る。

ソース https://news.yahoo.co.jp/articles/6d8ef4fedb483cb87afbad511bfc652c236a36cc