新型コロナウイルスやワクチンなどをめぐり注目されるようになった、誤情報が大量に広がる「インフォデミック」という現象。アメリカ大統領選をめぐっては、そうした情報の震源となっている「Qアノン」をもじり、日本で「Jアノン」という言葉が生まれるなど、世界中で問題視されている。なかには近しい人が根拠が乏しい「陰謀論」にのめり込み、その間柄に亀裂が生まれてしまったという事例も。当事者はどのような思いでいるのか。「母親を陰謀論で失った」というタイトルのnoteを記した男性に、話を聞いた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ad7b75dce6f12b5e43cc210e3bc5570a5e79a7a


少し経ってから、母親のSNSを覗いてみた。

大統領選をめぐる話も落ち着き、目が覚めているのではないか、という希望があったからだ。

しかし、そこには依然として「不正選挙」に関連する言説が多く並んでいた。そして新たに加わっていたのが、「反ワクチン」に関するものだった。

根拠なしにワクチンは危険であると主張するファイザーの「副社長」(Vice president)の発言、効果を否定し不安をあおる医師、マスクを否定し「コロナは風邪」とする政治活動家の主張ーー。

なかには「ワクチンは殺人兵器」とするような、荒唐無稽ともいえるものもあった。

「僕は、心のどこかで『時が解決してくれる』と希望を持っていたんです。でも、悪化しているんじゃないかとすら、思った。母は、沼にはまり込んでしまったのかもしれません」