名古屋市中心部の歓楽街、中区栄4丁目のフィリピンパブや飲食店、カラオケ店など46店舗が16日、共同で新型コロナウイルスのワクチンの職域接種を国に申請した。「夜の街」の事業者らが共同で職域接種を申請するのは全国でも珍しく、フィリピンパブのオーナーの男性(63)は「ワクチン接種を進めることで、クラスター(感染者集団)などの悪いイメージを一新し、街のにぎわいを取り戻したい」と期待する。

 栄4丁目には中区役所があり、通称「女子大小路」や池田公園周辺などに歓楽街が広がる。申請した46店舗は共同で7月上旬の接種を目指し、1日250人ほどの接種を見込んでいる。接種の際は、日本語の得意でない従業員のため通訳を用意する予定だという。

 栄4丁目を含む名古屋市栄地区では2020年夏にホストクラブやキャバクラなどでクラスターが発生。「夜の街」に対する世間の風当たりが強まり、客足が激減した。度重なる休業要請などで従業員への給料や店舗の賃借料を支払うのが困難な店が増えてきているという。

 また、フィリピンパブなどで働く外国人従業員からは「予診票が来ても理解できない」「外国人は接種から取り残されるのではないか」などと不安の声が上がっていた。感染を恐れ母国に帰れない従業員も多く、職域接種を行うことで従業員に接種を行き渡らせることができると考えたという。

 栄4丁目のフィリピンパブでママとして働く女性(33)は「職場のサポートでワクチンが打てるのは安心。以前のように、たくさんのお客さんが安心して来てくれるのが待ち遠しい」と話した。

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