https://www.asahi.com/sp/articles/ASP6K6GK7P6CPTFC006.html

包茎は多数派なのに、なぜ恥ずかしい? そのナゾに迫った研究者がいます。

 男性の性の歴史を研究する東京経済大准教授の澁谷知美さん(48)。江戸時代から現代まで、青年誌や医学論文など膨大な資料を分析し、「日本の包茎 男の体の200年史」(筑摩書房)にまとめました。背景に横たわる男性間の支配関係の罪深さとは。

 ――なぜ包茎を研究しようと思ったのですか。

 以前、童貞の語られ方を調査していたときに湧いた疑問が、研究の発端でした。仮性包茎(亀頭が包皮におおわれているが、手でむくことができるもの)は多数派で、清潔にしていればトラブルはほぼありません。なのにバカにされてきたのは、なぜだろうと。

 「包茎は恥」という価値観は、戦前からありました。たとえば広島の兵士を対象にした1899年発表の調査によると、亀頭が露出している「露茎」は少数派のはずなのに、不思議と多数派でした。兵士に聞くと、普段は皮をかぶっているのに、検査時にたくしあげていたんです。

 包茎を恥ずかしいと思う「土着の恥ずかしさ」が、1980年代ごろから「作られた恥ずかしさ」へと変容したとみています。青年誌や中高年雑誌に、美容外科医がお金を払って「タイアップ記事」を載せるようになったのが大きな変化です。

 これらの記事の多くには、「広…

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