「がん」の治療で自己負担する金額はいくら…?「部位ごと」にこんなに違った!
6/21(月) 7:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/08a75e568847bc5ba225d87826a2e392ac890871

 生きるか死ぬかはおカネしだい――。増え続ける医療費を抑制するため、後期高齢者にも負担を強いる時代がやってくる。病気ごとに、いくら費用がかかって、これからどう増えるのか。死ぬまでにかかる治療費の総額=「いのちの値段」を検証する。

【リスト】胃がん、大腸がん…「がん部位別」の治療費を公開
https://gendai.ismedia.jp/articles/images/84079?image=2

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【前編】死ぬまでに「治療費」はこんなにかかる…病気・部位別の「いのちの値段」を全公開
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高額療養費制度のワナ
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 最後に「がん」に目を転じてみよう。簡単な手術で寛解する可能性が高い早期(ステージI)か、術後の抗がん剤や放射線治療などの可能性も出てくる進行(ステージIII)かによって「いのちの値段」は倍以上に変わってくる。

 厚労省の発表によれば、'19年にがんで亡くなった日本人は38万300人。その中でも、もっとも死者が多かったのが肺がんだ。たとえば65歳で肺がんになった場合、早期発見ならば手術も部分切除のみで済み、術後の胸部CT検査、X線検査代などを合わせても、自己負担額は41万3070円。

 しかし、これが進行がんとなると、その費用は一気に跳ね上がる。

 手術自体も開胸での肺全摘術となり、体にかかる負担も部分切除の比ではない。さらに術後も高額な抗がん剤治療を余儀なくされるケースが多く、手術費と術後治療費を合わせて87万2740円もかかる。この金額は、早期と比べて倍以上だ。

 肺がんに次いでがんの死因2位となっているのが大腸がん。日本人男性の11人に一人、女性でも13人に一人がかかる「国民病」だ。こちらも早期発見ならば内視鏡手術とPET検査などを合わせても20万8510円で済むが、進行がんとなれば、術後の抗がん剤治療費が加算され69万2110円に達する。

 さらに恐ろしいのは再発や転移だ。進行性の肺がんの場合、ほとんどは2年以内に再発や転移が起こっており、再び手術や抗がん剤治療などが必要になるケースが多い。

 とはいえ「高額療養費制度が使えるから問題ない」と思っている人もいるだろう。確かに、たとえば年収370万円以下の人は50万円でも100万円でも、いくら治療費がかかろうとも実際の負担額は5万7600円となる。しかし、落とし穴がある。

 高額療養費制度は月単位の計算になるため、月をまたいで合算することができないのだ。例えば月ごとの通院で3万円を支払っている場合は、高額療養費制度が使えない。

 言い換えれば、がんの大きな手術を一度するより、生活習慣病で何年も通院して治療を受けるほうが、トータル的な自己負担額は多くなるというわけだ。

 自分の身は自分で守るしかない時代。各表を参考に、いまから備えておきたい。

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※本記事の表は公益社団法人全日本病院協会「医療費」重症別、『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社)、『病気の値段がわかる本』(アスコム)などを基に編集部にて作成
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 『週刊現代』2021年6月12・19日合併号より