解熱剤アセトアミノフェン品薄に コロナワクチン副反応に備え? 薬局「冷静対応を」
静岡新聞2021.6.15
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/915425.html

https://www.at-s.com/news/images/n92/915425/IP210614TAN000103000_O.jpg
「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤。全国的に品薄になっている=14日午後、浜松市中区の杏林堂薬局城北店

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、静岡県内をはじめ全国の薬局で「アセトアミノフェン」含有の解熱鎮痛剤が品薄になっている。副反応の発熱に備えた購入が拍車をかけているとみられ、薬局などの関係者は「ほかの成分の解熱鎮痛剤でも効果はある」と冷静な行動を呼び掛けている。

 アセトアミノフェンは副作用が少なく、妊婦や子どもでも安全に服用できるとされる。代表的な市販薬「タイレノールA」は高齢者ら一般へのワクチン接種が始まった今春以降、全国的に売り上げが急増した。

 県内で87店舗を展開する杏林堂薬局(浜松市中区)では、多くの店でタイレノールAが品切れになった。担当者は「5月に入ってから需要が急激に増えた。供給が不安定で入荷は未定」と説明する。同じくアセトアミノフェンのみの専売薬「セシオン解熱鎮痛薬AP」の販売を今月12日から始め、需要増に対応している。

 県新型コロナウイルス対策課によると、医療従事者への先行接種に伴う国の調査で37・5度以上の発熱者は接種翌日が35%、2日後が7%、3日後が1%確認された。副反応で発熱しても大半は1〜2日で回復するケースが多いとみられる。

 県薬剤師会医薬品情報管理センター(静岡市駿河区)の大石順子所長は「アセトアミノフェン単体の薬が最適だが、もともと流通量が多くないため、手に入りにくい状態になっている」と指摘。「イブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなどの薬でも問題はない」と話す。処方薬では「カロナール」というアセトアミノフェンの調剤もあるという。

 県は副反応の相談窓口を設けるとともに、症状が重かったり長引いたりする場合は医療機関を受診するよう推奨している。