都内の飲食店に営業時間の短縮や酒の提供時間の制限が要請される中、23日夜、都内の飲食店街では要請に従わず、
午後8時以降も酒を提供しながら営業する店が多く見られました。

今月から酒を出しての通常営業を再開した居酒屋のオーナーの男性は、都の協力金が支払われるのも遅く「我慢ができなくなった」と話しています。

東京都内では今月20日に緊急事態宣言が解除されましたが、飲食店に対して営業時間を午後8時までとする要請は続き、
酒の提供も1グループ2人までで滞在時間を90分に制限するよう求められています。

東京 板橋区の居酒屋では、先月まで酒の提供を控えるなど都からの要請に従って営業をしていましたが、
今月から酒を提供しながら午後11時までの通常営業に踏み切りました。

一方、この店では、すべての客に会話をするときにはマスクの着用を徹底するよう呼びかけています。

23日夜7時すぎに取材に行った際も、7割近くの席が埋まっていましたが、
多くの客が、食事をしたり酒を飲んだりするとき以外はマスクをしながら会話をしていました。

店のオーナーによりますと、この居酒屋の系列店が都内でほかに3店舗ありましたが、
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経営が厳しくなり、ことし3月までにいずれも閉店しました。

この居酒屋の売り上げも感染拡大前の1割以下まで落ち込んだ一方、要請に従った店に支払われる都の協力金も
ことし2月から5月までの分はまだ支払われていないということです。

この居酒屋では店頭に「もう我慢はできねーんだよ!」などと書いた紙が張られていました。

「中仙酒場串屋さぶろく」のオーナーの長岡雅也さんは「都の要請に従っても、売り上げがないのに協力金は遅れてくるというつらさもあったし、
メンタル面でいちばんつらかったです。街に活気をつくるために店を10年やってきたので、我慢ができなくなりました。
『マスク会食』を徹底して営業していきたい」と話しました。

また23日夜、東京 中野駅周辺の飲食店街を取材すると、午後8時で営業をやめる店がある一方、
営業を続ける店も多く見られ、通りは多くの利用客でにぎわっていました。

要請に従っている飲食店の店員は「いろいろと思う部分はあるがそれぞれの店の事情があると思うので、
自分たちは要請を守ってコロナが落ち着くのを待ちたい」と話していました。

一方、営業が続く飲食店で酒を飲んでいた29歳の男性は「緊急事態宣言が解除されてほっとした気持ちがあります。
自分も飲食店で働いているので感染者数が増えたと聞くと複雑な気持ちになりますが、宣言が出ているときより飲みに行っても大丈夫だろう
という気持ちになっているかもしれません」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210624/k10013100851000.html