新型コロナウイルスの感染拡大が収まらぬ中、強行開催される東京五輪。国内外から多くの人が押し寄せ、東京にはいつもと違う2週間が訪れる。「五輪なんて自分に関係ない」と考えていても、普段通りに過ごしていると思わぬ迷惑を被る可能性がある。

 まず、電車による移動だ。上限1万人の観客が各会場に訪れ、海外のメディア関係者も「入国後14日間」を過ぎれば、公共交通機関で移動できる。そのため電車が“密”になり、感染リスクが高まることが想定される。

 元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏が指摘する。

「混雑が予想されるのが、競泳会場の東京アクアティクスセンターの最寄りの辰巳駅やバレーボール会場の有明アリーナのアクセス駅である豊洲駅などが集中する有楽町線です。新国立競技場へのアクセス駅が通る都営大江戸線や銀座線も臨時列車の運行が検討されていますが、ラッシュ状態になるでしょう」

 どうしてもこれらの路線に乗らなければならない場合、時間帯に気をつける必要がある。

「開会式が23時に終了するのをはじめ、22時から23時に終わる競技が多い。組織委員会は“直帰”を呼びかけており、その時間帯の最寄り駅や電車に乗客が集中するため、乗車は避けたいところです。

 さらに、飲食店の営業自粛状況にもよりますが、観戦後に盛り上がった客が歓楽街に行く可能性もある。その場合、新国立競技場からアクセスしやすい新宿や渋谷に人が集まるでしょう」(春日氏)

首都高通行料金は1000円上乗せ

 五輪フィーバーの混雑を避けて「地方疎開」を考えている人もいるだろう。しかし疎開先によってはかえって感染リスクが高くなる。

「長引く自粛の影響で、近場にリフレッシュで出かけるのがトレンドになっています。軽井沢地区の7月の予約数は前年同月の1.7倍以上ですし、ワクチン接種が済んだ高齢者も動き出すでしょう。コロナ以降、ギリギリになってから予約する人が増えているので、東京からアクセスのよい軽井沢や那須などの観光地に今後さらに予約が入る可能性が高い。

 特に東京五輪の影響で4連休になる7月22〜25日、3連休の8月7〜9日は、混雑が予想されます」(旅行ジャーナリストの村田和子氏)

 お盆休み中、帰省をする人も多いはずだが、五輪期間中は首都高の通行料金が通常料金より1000円上乗せ(6〜22時)になっており、さらにその他の大都市圏の高速道路も料金の引き上げが検討されている。五輪から遠ざかりたい人にとっては迷惑この上ない。それもバッハ会長らIOCのお歴々のために明け渡すのだからさらに腹立たしい。

 厄介なトラブルに巻き込まれぬよう、お金の管理にも気を配る必要がある。ITジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。

「2018年の平昌冬季五輪では、開会式当日にサイバー攻撃が発生してチケット印刷の運営システムに影響が出たように、五輪開催期間中はサイバー攻撃が多発する傾向にある。

 今年2月末、システムの不具合でみずほ銀行のATMが停止しましたが、サイバー攻撃によって不正アクセスを検知しATMが停止する可能性は十分に考えられる。普段より多めの現金を手元に持っておくほうが賢明です」

 観戦しないのに“感染”を避けるため窮屈な日々を強いられる──国民の怒りを政府や五輪関係者は全く気にも留めていない。

2021年7月2日 7時5分 ニュースポストセブン
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/20463030/

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