2021/07/05 11:00
2021/07/05 18:07
著者:海老原昭

1996年、当時日本一インターネット普及率の高い村があった。このとき、住民に配布された端末の中に、Macファンの多くが知らないであろう専用機種があったという。おそらく相当マニアックなMacファンの間でも知られていないであろうこの謎の機種について迫ってみた。






Macなのに「FM」…?

事の発端は、Mac業界の重鎮・林信行氏による、6月30日のTwitterでの呟きだった。


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今日26周年らしい。世界中で富山県山田村の人しか持ってないMac。まだ現存しててeBay出したらどれくらいの値がつくのだろう?私は当時のアップルCEOアメリオに提案メール書いたらすぐに検討すると返事きた。それと別に日本のアップルでも検討してた。
何かイベントやろうと @hokayan に言われてた
― Nobi Hayashi 林信行 (@nobi) June 30, 2021
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林氏は当時から日本のAppleのみならず、米Appleの上層部にも直接やりとりのできる数少ないジャーナリストとして活躍されていたが、山田村が全戸にインターネット回線(ISDN回線)を引く際に専用のMacを提供できないかと、米Appleのギル・アメリオCEO(当時)に直接連絡を取ったという。
残念ながら林氏はこの段階でこの話から離れてしまったためにその後のことはご存知ないそうだが、型番が「FM-A71」であること、QuickTime Conferenceでビデオ会議ができる仕様だったことは覚えておられた。そして「6月30日」がその記念日だというのである。
筆者も1994年ごろからこの業界の末席に加えさせてもらっているが、残念なことに、このあたりの情報はスッパリ抜け落ちていた。Apple製品を専門とするライターとして、また当時インターネット専門誌に身を置いていた者として、大変情けない話である。
しかし、日本専売のMacといえば、古くはPowerBook 170のJLPGA仕様(通称ベネトンカラー)や、PowerBook 2400cシリーズなどがあるが、特定の地域、それも「村」専用という機種は聞いたことがない。
「FM-A71」で検索してみても、Macに関係しそうな話題は一つもヒットしない。そもそもMacの型番として考えても、このネーミングはセオリーから外れすぎていすぎる。
当時のMac雑誌等を漁れば記事があるかもしれないが、残念ながら筆者の手元にも、地元(千葉県)の図書館にもバックナンバーが存在しなかった。とはいえ、この程度で諦めていてはプロのライター失格である。ということで、インターネットよりもう少し泥臭い方法で調べることにした。





ところで「山田村」ってどこなの?

山田村は、富山県婦負(ねい)郡にあった、人口約2,000人の村だ。井田川を通じて、富山市の中央を流れる神通川へと流れ込む山田川を中心とした集落であり、1300年の歴史を誇る越中最古の古湯・山田温泉や、牛岳のスキー場といった観光名所もあるが、高齢化が進み、過疎化の進む集落でもあった。

それが1995年、中学校教諭の要望がきっかけで、NTTのサポートを受けて村ぐるみでのインターネット利用の取り組みがスタート。その冬には国土庁(当時)が推進していた過疎化対策の補助事業として、希望する全戸にパソコンとインターネット接続(ISDN)が整備され、「日本で家庭のパソコンとインターネット普及率が最も高い電脳村」として一躍、注目を浴びることになった。

現在は2005年の市町村統合により、富山市に吸収合併されており、富山市の南西側に位置する地区となっている。





謎のMacの素性が判明!
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://news.mynavi.jp/article/20210705-1915519/