東京五輪まで2週間というタイミングで、首都圏1都3県と北海道、福島での「無観客」開催が決まった。
これで観客を入れるセッション(時間帯)の約96%が無観客となったが、一部地域では「有観客開催」が強行される。

人流増は必至だ。この期に及んでも感染抑止とは真逆のことをやらかそうというのだから、「一大感染イベント」へまっしぐらだ。

皆さんに喜んでもらえる大会にしたい」
宮城県の村井嘉浩知事は9日、有観客開催に向けて、こう意気込みを語った。

東京都に4回目の緊急事態宣言発令が決定した8日に開かれた、IOC(国際オリンピック委員会)、
政府、都、大会組織委員会などによる5者協議で、宣言やまん延防止等重点措置下に置かれる1都3県の会場で無観客が決定。

北海道も9日深夜に無観客が決まった。一方、宮城、福島、静岡3県の会場では「収容人数の50%以内、最大1万人」の範囲で観客を入れることになった
(茨城県は児童・生徒を招待する学校連携観戦のみ)が、10日には、野球・ソフトボールを有観客で開催予定だった福島も一転、無観客での開催となった。

村井知事は「プロ野球やJリーグの試合が入場者数を制限して行われており、五輪だけ観客を入れないのは筋が通らない」とも発言していたが、
3月に仙台市を中心に感染者が急増。人口10万人当たりの新規感染者数が全国最悪となり、独自の緊急事態宣言発令に追い込まれた。

人流が増えれば、感染再拡大を招く懸念はぬぐえない。

宮城スタジアムでは今月21日から31日までの間の6日間で男女サッカーを実施予定。収容人数4万9000人のスタジアムに制限いっぱいの1万人を入れる場合、
延べ6万人の観客がスタジアムを訪れることになるのだ。

静岡の自転車競技会場にも上限まで観客が入ると、単純計算で宮城と静岡の会場には同11万4100人が足を運ぶことになる。
「チケット購入者の多くは首都圏在住」(大会関係者)という。

大会期間中に10万人超が県境を越えて移動すれば、昨秋の「GoToキャンペーン」の二の舞いになりかねない。

「2県の地元住民からは〈人が集まってくるのは不安だ〉という声が上がっています。一方、チケット保有者も〈宮城にサッカーを見に行ってきたよ〉とは言いづらいでしょう。
大会全体の規模からして、2県で実施される競技の観客数は決して多くはないから、有観客にしたところでチケット売り上げが大きくプラスになることもない。
いっそ、一律で無観客にすべきです」(前出の大会関係者)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/291770