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埼玉医科大学総合医療センター・総合診療内科教授の岡秀昭さん(写真撮影時のみマスクを外しました)

第5波で増える40代、 50代の重症者…「現場としては結構しんどい」コロナ治療最前線の医師が抱く不安と希望
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210715-00010000-bfj-soci

新型コロナウイルス感染症の第5波が広がり始めた。政府分科会は7月、8月が「最大の山場」であると発信するが、医療の現場では何が起きているのか。そして、この夏、危惧することとは何か。埼玉医科大学総合医療センターで総合診療内科教授を務め、新型コロナ治療の最前線で治療を続ける岡秀昭さんに聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

病床に空きはあるが「しんどい」
ーー現在の埼玉医大総合医療センターにおける状況を教えてください。

第5波はすでにこの総合医療センターにも到達しています。現在は中等症以上の方を中心に5名の患者を治療していますが、そのうち4名が40代および50代です。

残り1名は80代で1回目のワクチンを接種済みの方ですが、デルタ株に感染しており、重症化しています。

感染者数全体は10代、20代、30代といった若年層が多い。若い人々が引き続き重症化しにくい一方で、ワクチンの接種が進むことで高齢者の重症者が減り、40代や50代の基礎疾患をお持ちの人の重症者が増えています。

うちの確保病床は重症者用は6床、そしてそれ以外の中等症などのための病床が20床以上あります。

ですから、病床自体にはまだ空きはある。まだまだ空いているので、仮に今日搬送の依頼が複数来たとしても問題なく受け入れることができます。

ですが、入院を必要とする人々が以前よりも若いために変化が見えてきました。

これまでは入院を必要とする患者の多くは高齢者でした。そのため、回復したとしても退院までにはリハビリや転院調整などが必要となることが多く、長い時間を要しました。

しかし、40代、50代の方の場合には入院したとしても、重症でなければ適切な治療を受けて回復することで比較的スムーズに退院していきます。ですから、現時点ではベッドの回転率がこれまでよりも良い状態です。

でも、これが現場としては結構しんどい。

数字だけを見ていれば、回転率が上がっているため病床にはまだ余裕があると思うかもしれませんが、3人退院したと思ったら、すぐに2人入院してくるような状況が続いています。

もしかすると、このような要因から第5波ではなかなか病床全体の使用率は上がりにくい可能性があります。ですが、入退院が激しい中で病床使用率では見えない現場のスタッフへの負荷は高まりつつあります。

ーー高齢者ではなく、40〜50代が重症化することで、現場では他にもどのような変化が起きるのでしょうか?

重症化した際、人工呼吸器を着けるかどうかを判断する上ではご本人、ご家族と相談します。

たとえば80代、90代の患者さんであれば、希望しないというケースも少なくありませんでした。

しかし、40代、50代の患者さんとなると、ほぼ全ての人が救命を前提とすることが予想されます。

おそらく高齢者よりも40代〜50代の人の重症化率は低くなると思います。しかし、重症化した場合に人工呼吸器を着ける人の割合は高齢者よりも高いでしょう。

ほとんどの重症患者が人工呼吸器を必要とするということは、重症者の受け入れを中心に医療逼迫も起きやすい。このペースで感染者が増えれば、2週間程度で当院の新型コロナ病床は逼迫する可能性があります。

ーー変異ウイルスへの置き換わりは進んでいますか?

2週間前に当院でも初めてのデルタ株の患者を受け入れました。そして、現在では2割から3割の患者さんがデルタ株です。

中略

この第5波では、おそらく一部のワクチンを1回だけ接種した高齢者と40-50代の重症者が混ざり合い、そうした人々でベットが埋まる状況になるのではないかと予想しています。

今はまだ、入院を必要とする人々が40〜50代中心でベッドの回転率も早く、適切な治療を早期に受けられているため多くは重症化の一歩手前で持ち堪えています。

でも、重症化すれば、40〜50代であっても人工呼吸器が必要です。そして、1度人工呼吸器をつければ、平均的にはおよそ3週間程度は外せません。

ですから、このまま感染者数が増え続ければ、重症者を中心に受け入れが難しくなり、再びの医療逼迫は避けられません。

私たちはできる限り頑張りますが、限界はある。現在の感染状況が続くと、私たちの限界を超えてしまいます。…

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