緩和縮小「複数会合で議論」、FRB議長 物価高「不快」

【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は15日、前日の下院に続いて上院で証言し、量的緩和の縮小(テーパリング)の開始に関し、7月下旬の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)を含む「複数の会合で議論を続ける」と述べた。2%を大きく上回る物価上昇は「もちろん心地よくない」と語った。

インフレについて「(目標の)2%をかなり上回っており、もちろん心地よくない」と語った。同時に、インフレの加速は経済の再開に伴う「ショック」だとして、いずれ沈静化する一時的な現象との説明を繰り返した。

テーパリングに関し、7月会合で「資産購入の構成や減らし始めるまでの経路について話し合う」と語った。FRBは現在、米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルのペースで購入している。

6月の前回会合ではテーパリングの方法論にも議論がおよび、住宅価格の高騰を踏まえ、MBSの購入規模の減らし方を米国債よりも早める方がよいとの意見が出た。正式決定の前に議論を深めていく。

金融の安定に対する脅威をめぐっては「最も心配しているのはサイバーリスクだ」と指摘した。さらに「ビットコインの価値は上がったり下がったりし、市場が少し泡立っている(フロッシー)と感じる」と語った。

日本経済新聞 2021年7月16日 2:14 (2021年7月16日 5:09更新)