登山口に鳥居が建ち、登り始めると、斜面伝いに坂道が続く。直立した太い松と杉がうっそうと茂る中で歩くこと約20分。樹木に遮られていた上空が頂上の磐座の真上にぽっかりと姿を現した。

 「日本のピラミッド」と呼ばれ、伝説マニアの間では「謎の多い山」として知られる秋田県鹿角市の黒又山(くろまたやま=通称クロマンタ、標高280メートル)。花輪盆地に拓(ひら)ける十和田大湯にあり、南西約2キロ先には、世界遺産登録を控える「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つで、かつてこの山と何らかの関係があったのではと推測されている「大湯環状列石」が広がる。

 この山は、少し離れて見るとピラミッドのような整然とした形だ。地元では、アイヌの言葉が語源とされる通称名で親しまれ、かつてのこの地域の族長、黒沢万太を祀(まつ)った古墳という伝承も。山頂部には「本宮神社」が祀られている。

 専門家の間で「古代ピラミッド説」は根強い。疑問を解明しようと、考古学者らで構成する日本環太平洋学会は1990年代に神道民俗学、文化人類学などの専門家らを集めて調べた
https://mainichi.jp/articles/20210718/k00/00m/070/011000c