熱海市の土石流災害で県は崩落した土砂のほとんどが盛り土だったとみられている。

この盛り土をした会社の元社員を取材するとこの会社が熱海で行ってきた“ずさんな工事”の数々が浮かび上がってきた。

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神奈川県・小田原市に本社を置くA社。22年前に設立された“不動産管理会社”だ。

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2007年、静岡県に盛り土の工事を申請したA社。その後、熱海市内で複数の“開発工事”を行っていたことが分かった。

「同じことやってるなと思いましたよ。ひどい 本当にひどい」(盛り土をしたA社の元社員)

NNNの取材に応じたA社の元社員。過去にも土砂を運び込み、崩れた現場があると指摘する。

「土砂が崩れてきて道路のきわまできている」「土砂を搬入しようと許可はとっているんですけど、数倍もの土が入った」(盛り土をしたA社の元社員)

今回の崩落現場から約9キロの地点。4年前に工事が始まったといいう。

当時の標識にはA社の名前。許可が下りたのは2017年1月。目的は「植林のための地質改良」となっている。

先週、現場に向かうと・・

「大きく傾いて橋に かかっている木もあります」(記者)

斜面がえぐれ、木はなぎ倒されたままだった。

「泥を捨てた後ブルドーザーで押している。だから木が自然に倒れてくる」(当時を知る住民)

トラックが大量の土を捨てるのを目撃していた住民たち。

やがて、異変が。

「川が汚れてきてるから水が泥だらけ」(当時を知る住人)

土が流れ出し下流の川の水が濁ったという。

7月に撮影された標識の写真には、2017年4月川勝知事の名前で工事の中止を命じた県の「命令書」が映っている。

許可がおりてわずか3ヶ月後の中止命令。住民によると、この標識は今回の土石流の数日後、撤去されたという。

A社の開発をめぐっては、2012年にも熱海市内の現場で土砂崩れが発生。土砂は墓地の中にまで流れ込んだという。

「いつ同じように(土砂が)流れてくるか分からなかったので恐怖を感じながら撤去を進めなくてはいけなかった」(寺の住職)

当時、A社と直接やり取りをしていた熱海市議は…

「斜面に土を上からどんどん落とし込んだなら大雨の時は流れ出すことは子どもでもわかる。そういうのを平気で開発業者がしていてそれには大変驚いた」(熱海市議)

過去にもたびたび起きていた土砂の崩落。A社の元社員は今回崩落した盛り土についてこう語っている。

「プラスチックの破片とか木くず、タイヤ。噂によるとトラックも 埋めてあると聞いた」(盛り土をしたA社の元社員)

産業廃棄物が捨てられていたと証言。その出所も熱海市内だった。

「(ある会社の)社員寮が4棟か3棟建てたんですよ。それを解体した解体ガラを一気に伊豆山に持ってきた」(盛り土をしたA社の元社員)

解体工事が行われた地区に行ってみると…。

「車がぼこぼこになっちゃった。がれきが崩れてきて」(住民)

熱海市内で見えてきたA社の開発をめぐる数々のトラブル。

別の元社員は、開発工事には“別の目的”があったと指摘する。

「目的は残土っていうか、泥を受け入れ谷を埋めて、儲ける。それが一番の目的」「なかなか泥の捨て場がなくて(残土を)迎え入れれば10トンダンプ1台で、何千円って話になる。100台1000台って話になれば、一つの穴や谷があれば莫大な利益になる」(盛り土をしたA社 別の元社員)

行政相手の強引な手法についても明かした。

「山の中に入って斜面に入って造成を勝手にしてしまう。行政には後から指導を受けて、ちょちょっと手直しして許可を得てしまう」「既成事実の中で許可を下ろさせていく」(盛り土をしたA社 別の元社員)

熱海市でA社を担当した職員は。

「『言うことをきいて』と言っても『いいよ』と言う人間じゃない。『お前らの言うことはきく必要がない」とか言われてしまう」「市としてできることは、地域から問題として上がってきたのを目視して、相手にも「やめてください」とは伝えるが、それ以上はできないから、県に報告書を上げて指導してもらう」(A社を担当した職員)

熱海市がかつて行政指導を行ったというが、注意すること以上の対応は難しかったと話した。

A社の代表に対しNNNから質問状を送ったが回答は得られていない。

7/23(金) 22:27配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210723-00318529-sdt-l22
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