監督責任を問われる静岡県の川勝平太知事
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210729-00758463-shincho-001-1-view.jpg

※省略

 愛知県名古屋市の高級住宅街に鳴り響く蝉時雨(せみしぐれ)。梅雨が明け夏本番の到来を告げる風物詩は、時に耳障りなほどの大合唱となるが、それを遮る勢いで声を荒らげた男は、こう言い放つ。

「なんだ君は。話すことはない!」

 とても齢80を超えているとは思えないほど激しい口調で憤るが、人目につくことを極端に恐れているのか。丸々禿げ上がった頭を隠すように深めに帽子をかぶり、車から降りようとしない。

 自宅へ逃げようとする彼に本誌(「週刊新潮」)記者が、土石流で多くの方が亡くなり、未だ行方不明者がいることへの責任について質(ただ)したところ、

「そんなのは(弁護士に)言っとるよ。警察を呼ぶぞ、警察を!」

 と眼光鋭く威嚇してみせるが、警察に訴えたいのは肉親を失った遺族の方ではないだろうか。

※省略

 結論から先にいえば、目下の“犯人”とされるのは、2人のワル。1人目が冒頭で悪態をついた老人で、盛り土の現所有者である麦島善光氏(85)だ。崩落現場の伊豆山一帯の山林を所有する「ZENホールディングス」(本社・東京)の実質的なオーナーで、寺院やリゾート施設を手当たり次第に買い漁(あさ)る一方で、過去には脱税で逮捕され懲役2年の実刑判決を受けるなど、“生臭坊主”と指摘する声もある。事実、遺族をはじめ地元住民への謝罪はおろか、会見も開かずマスコミからも逃げ回り、これまで雲隠れを決め込んでいたのだ。

 同じく行方をくらませたもう一人が、この盛り土を「作った男」である天野二三男(ふみお)氏(71)。盛り土崩壊で自ら退会届を出すまでは、保守系同和団体「自由同和会」の神奈川県本部会長という肩書を持っていた彼は、同県小田原市の不動産管理会社「新幹線ビルディング」など幾つかの法人の役員に就く実業家でもある。2006年に宅地造成を名目に今回の現場周辺の土地造成を始めたが、結局は産廃を含む残土置き場にして、11年には麦島氏側に売却してしまうのだった。

※省略

 遺族たちがかような感情を持つのも致し方ない事情はある。以前から天野氏は熱海の土地開発を巡り、住民と再三トラブルを起こしていた。

 たとえば07年夏には、台風4号の被害で天野氏の会社である新幹線ビルディングが造成した土地で土砂崩れが発生。市が撤去を求めたが、彼らは「自然災害なので知らない」などと応じなかった。これを問題視した市議が、議会でこの一件を取り上げたものの、当時の議事録によれば熱海市は以下のように答えていた。

〈新幹線ビルディングそのものがですね、同和系列の会社でございまして、ちょっと普通の民間会社と違いますので、その辺でそういうふうな回答が来たんだというふうに考えております〉(当時の熱海市水道温泉課長)

 結局、議会での追及も立ち消えとなり、崩れた土砂は税金で撤去された。

※省略

 路子さんのご主人の友人である高橋昇さん(80)も、はとこにあたる太田洋子さん(72)を土石流によって失った。

「これはとんでもない人災です。原因を作った連中を土に埋めてやりたい。それくらい憤っていますよ。洋子の遺体が見つかったことは不幸中の幸いでしたが、まだ見つかっていない友人が2人います。土を運ぶトラックは、今回被害にあった地域を迂回するようにして出入りしていましたから、そういったことが行われている事実を何も知らない地域の人たちが、最終的に被害にあってしまった。こんな理不尽なことはない。罪を償わせてどうにかなるレベルを超えています」

※省略

 だからというわけか。冒頭の麦島氏は、本誌記者とのやり取りの中で、以下のようにも話していた。

「崩れたのはうちのせいじゃない。段々畑だと思っていた。(盛り土があったとは)知らなかったのと同じでしょう。詳しいことは……わからんっ!」

 支離滅裂な言い訳ながらも、土石流になった原因は前オーナーにあるとして、危険性を認識していなかった点を強調するのだ。

 片や以前本誌で取材に応じた天野氏は、

「(盛り土のあった土地を)私は売ったわけですよ。それ以来、現場には行っていません。もう10年も前のことだし、この間に役所も麦島さんと何をしていたのでしょうかと。盛り土があるとわかっていたはずで知らないわけがない」

 などと、醜い罪の擦(なす)り合いに終始する有様で、謝罪の気持ちは微塵も感じられなかった。(続きはソース)

デイリー新潮 7/29(木) 5:58配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210729-00758463-shincho-soci