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共産党に入党したら、模範的な、立派な活動家になったろうに(´・ω・`)

岡崎久彦『幣原喜重郎とその時代』(PHP研究所、単行本) P.134〜137
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ここでは共産主義の失敗の理由を究めるのは目的ではない。むしろ、なぜ共産主義が
あれほどまでに人々の心を魅惑し、二十世紀を通じて猛威を振るったかを知ることのほうが
歴史の理解のうえで必要である。それこそが冷戦後の新世代によってやがて忘れ去られる
歴史的事実であるので、記録として残しておく必要がある。

ブレジンスキーによれば、共産主義は、孔子のように「人によって法を説く」ことができた。
学問のない人間にもすべてを階級闘争で説明し、プロレタリア革命さえ成功すれば理想の社会が
実現できると説いた。「恵まれない人々にとって、特に魅力的だったのは」
いままでの★★特権階級に暴力を振い、逆に虐げることを正当化した★★ことである。

大正時代の「革命歌」は、

「貪婪飽くなき資本家の 魔の手は長く労働の 成果を奪いむさぼりて……」

とマルクスの搾取理論をそのまま歌とし、

「資本家憎けりゃその餓鬼も 呪うわれらの復讐に 貴婦人令嬢強姦し 鉛の熱湯うち浴びせ」

と、その後のソ連、中国共産党、ポル・ポト派による旧支配階級大量虐殺の心理的背景を謳いあげている。

(中略)

一九二一年、コミンテルン代表のマーリンが孫文に「先生の革命思想はなんですか?」
と問うたのに対して、孫文は尭舜以来の中国の伝統を説いて、「人を愛するがゆえに革命をする」
と答えた。これについて、マーリンは孫文の側近に「人類愛のために革命をするというのでは
革命は永遠に成功することはない。★★われわれは人を恨むがゆえに革命を行うのだ。★★」と語ったという。
共産主義が憎しみの哲学であるところに、二十世紀の悲劇が生まれるのである。


また、ブレジンスキーによれば、「たんに不満のはけ口や社会的な憎悪の正当化にとどまらず」
知識階級に対しては、人間の歴史、政治、経済を知的に理解するものさしを提供し、
「その思想を受け入れた者は、自らの正しさを信じて疑わず、自信を抱いた」のである。

ジョージ・ケナンは、冷戦時代の封じ込め政策の理論的基礎をなした、かのX論文のなかで、
こうしたマルクス理論はツアーの専制下の抑圧されたロシアの民心に訴えたと説明しているが、
その影響はロシアにかぎらず世界的であり、西欧をはじめ、西はアルジェリアからインド、中国、朝鮮、
日本まで、一九六〇年代までにわたって層の厚いマルクス・コンプレックスの世代を創り出した。

韓国の哲人政治家、兪鎮午氏はかつて語った。

「朝鮮戦争で共産主義の実体がわからなければ、韓国は共産国家になっていたと思う。日本時代、
戦後、すべてのインテリは共産主義者だった。そうでないものは、自分の財産や社会的身分のためか、
あるいは勇気がないために、共産主義者になれないというコンプレックスをもっていた」