菅政権「ワクチン一本足打法」の思考停止

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優秀な経営者と評価される人ほど、いつも危機意識を持ちながら経営にあたっています。ですから、想定外のシナリオになったらどういった対応をしたらいいのか、前もって考えているのは、当然のことなのです。

【写真】菅政権の「コロナ人災」で、これから日本全国で起きる「絶望」と「悲劇」

 翻って、我が国のトップである菅義偉首相の一連のコロナ対策を振り返ってみると、危機意識というものを持っている様子は皆無といっていいでしょう。「自らがそうなってほしい」と思うシナリオのみを信じ込み、それ以外のシナリオをまったく考えていないのは明白です。

 7月16日の記事『菅政権の「コロナ人災」で、これから日本全国で起きる「絶望」と「悲劇」のリアル』では、日本では米英よりデルタ株が広がる余地が大きく、ワクチン接種さえ進めば何とかなるという考えは、楽観的すぎると警鐘を鳴らしました。

 実際に、東京を中心に感染爆発が起こり、医療崩壊が現実のものとなりました。

 医療関係者のあいだでは「どうみても入院させなければならない人たちが、自宅療養を強いられている」という現状が相次いで報告されています。

 今後は自宅で亡くなる人々が増えていくことが想定されるものの、それでも菅首相は「ワクチン接種の一本足打法しかない」という思考停止に陥っているようです。

 ワクチン接種を進めれば選挙に勝てるかもしれないと、藁にもすがる思いなのでしょう。

集団免疫のハードルは高くなる

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欧米の感染状況をみていると、集団免疫のハードルはかなり高いように思われます。

 ワクチンを2回接種した人の感染(ブレークスルー感染)が増えていることから、イスラエルではデルタ株への予防策としてすでに100万人以上が3回目の接種(ブースター接種)を終えています。アメリカでもバイデン政権が3回目の接種を9月下旬から始めると公表しています。

 昨年の段階で専門家たちが複数の「医学誌」で指摘してきたように、ワクチンの効果が半年も経たないうちに落ちてくることが現実化してきました。接種率70〜80%で集団免疫が達成できるのか、非常に怪しくなってきたのです。というのも、70〜80%に達する前にワクチン効果が低下する人々が徐々に増えていくからです。

 先進国の中でワクチン接種が進んでいたアメリカでも、デルタ型の感染拡大によって入院患者が急増しています。足元の入院患者数は6万人を超えており、1月中旬のピーク時の5割にも達しているのです。

 アメリカの現状をみていると、たとえワクチン接種によって死亡者数や重症者数が減ったとしても、新規感染者数が10倍に増えれば、重症化したり死亡したりする人が増えるのは必定です。

 アメリカでの死者数は連日で500人を超えていますが、これが少ない数だといえるのでしょうか。

 突然変異はウイルスゲノムがコピーされる際に、一定の確率で起こります。感染者数が増えれば増えるほど、コピーされる頻度も増えていくので、新しい変異株が発生する確率も高まっていきます。

 世界中で新しい変異株が多数報告されていますが、再び世界各国で感染拡大が進む中、新しい変異株が必ず誕生します。新しい変異株が生まれるたびに、ワクチンが効かない可能性が高まり、集団免疫の形成は難しくなってくるのではないでしょうか。

つづく

8/23(月) 7:31 現代ビジネスhttps://news.yahoo.co.jp/articles/bbe8de0f5898621d03820247226a223d1916c0f9