住吉会を率いる小川修司会長(中央)。住吉会のトップらは今年6月、組員が関与した特殊詐欺の被害者らに約6億円の和解金を支払った

「組の正式な文書としてこんな通知が回るのは前代未聞だと思いますよ。同じような被害が多発したのでしょう。それにしても詐欺の被害者側とは驚きです……」(全国紙社会部担当記者)



関連画像の「御通知」と題されたペーパーを見てほしい。これは7月下旬に関東最大の指定暴力団「住吉会」の内部で配布された文書である。最高幹部の名前が記され、中身は傘下の組織に対して「詐欺紛いの案件に気をつけて下さい」という注意喚起だ。前出・記者はこう解説する。

「実在する他団体の有力組織の関係者を名乗るオトコに金を騙し取られたそうです。まず事務所に電話がかかってきて、住吉会幹部との付き合いをほのめかしながら、『そちらのシマにカタギを立てて飲食店を出したい。ショバ代を納めるので』と持ちかけてきたとか。さらに『挨拶代わりに牛肉を送りたい』とも言ってきたそうです。

そして、その翌日にも電話をかけてきて、今度は『新しい店にお花のお付き合いをお願いしたい』と花代を請求してくるんです。その際、振り込み先が花屋ではなく、花代をとりまとめているという口座を指定される。これに応じてしまった組がいくつかあったようです。すべて作り話で、口座はダミーでした」

元産経新聞社会部記者でノンフィクションライターの尾島正洋氏が言う。

「暴力団排除の社会情勢やコロナ禍でシノギが苦しくても、ヤクザにとって面子(メンツ)を守ることは重要ですから、頼まれるとつい応じてしまう。見栄もあるので高い花輪を選ぶんです。犯人はヤクザの実態をよく知っている同業者か半グレあたりでしょう」

命知らずの詐欺師がいるものだ。

『FRIDAY』2021年8月20・27日号より
https://news.yahoo.co.jp/articles/5107b5e388fcd2cafea7fa8e315d964c8c7215cc