判決要旨をざっと読んでみた。
被告人が犯人である「可能性がある」、犯人であるとして「矛盾しない」、という論証のオンパレード。
ここから被告人が犯人であることが合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に立証されているとは言い難い。
著名な最高裁判例は、状況証拠によって事実認定をする際は「情況証拠によって認められる間接事実中に、
被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて
困難である)事実関係が含まれていることを要する」とするが、
本判決ではそのような具体的事実の指摘は皆無に等しい。
ちなみにこの最高裁判例の事件で逆転無罪を取ったのがまさに今回の弁護人。
これが普通の事件だったら間違いなく高裁でひっくり返るであろうところだが。