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2021/08/30(月) 16:30:19.21ID:xzJ7AP2K9小糸工業で不正が発覚したのはJALの国内線ファーストクラス向けシートの製造問題だった。このシートは17年までに独ZIM製に換装された=14年5月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
小糸製航空機シート問題、10年で対策完了 試験結果改ざんで他社製に換装
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210830-00000003-awire-bus_all
世界の航空会社で使用されてきた小糸工業(20年に小糸製作所が吸収合併)製の航空機用シートが7月末で取り下ろし期限を迎え、国内各社での換装作業が期日前に完了した。
2019年3月末で退役した初代政府専用機「B-747-400」にも同社製シートは採用され、国内では数少ない世界的シェアを誇る航空機内装品メーカーだった。航空各社はすでに他社製シートへの交換や、当該シートを搭載した機材の退役を済ませており、日本の空から姿を消した。
シート自体の評価は高かったものの、数少ない日本の航空機シートメーカーが姿を消すまでの10年をまとめた。
◆TCD発行から10年
小糸工業は航空機用シートの衝撃試験や耐火性試験の結果を改ざん・ねつ造していたとして、2010年2月に国土交通省航空局(JCAB)から業務改善勧告を受けた。新規シートの出荷停止や出荷済みシートの再試験などが実施され、安全性の再確認に追われた。
2011年6月には、国交省が航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する耐空性改善通報(TCD)が発行された。航空機シートは耐荷重試験など高い安全性を求められるため、すぐに代替品を調達することが難しい。TCDは安全確認の優先度が高いものから期限が定められ、10年後となる今年7月末が同社製シートを取り下ろす事実上の期限となった。
中略
◆日本だけで再検査4万席
TCDが発行された2011年6月時点で、国内で対象となった機体と座席数は、日本航空(JAL/JL、9201)グループと全日本空輸(ANA/NH)グループ、日本貨物航空(NCA/KZ)で合わせて約4万席が対象になった。
JALとANAではTCDに従って安全性を再確認後は、客室改修などでシートを段階的に交換したり機材を退役させており、期日の7月末を迎える前にシートの入れ替えをすべて終えた。貨物機を運航するNCAも、2019年までにボーイング747-8F型機へ機材統一を終えており、対象シートを積んだ機材は姿を消している。
◆不合格材料で製造発覚
国交省が小糸工業を処分する発端となったのは、JALの国内線ファーストクラス向けシートだった。2007年12月にサービスを開始したもので、JALの国内線最上級シートだ。当時JALは小糸工業とクラスJなどのシートも共同開発しており、小糸工業による不正の発覚は大きな衝撃を与えた。
2009年1月の国交省の発表によると、当該シートはJALが国内線に投入しているボーイング777-200型機9機に126座席(1機14席)装備されていた。問題となったのは、シートのしきり部分に使用するカーボンファイバー強化プラスティックで、耐火性試験を受けた際に量産用材料が不合格となり、別の材料による再試験で合格して国交省から承認を得たものの、不合格になった材料で製造し、出荷していたことが発覚した。
このため、国交省は認定を取り消し、出荷済みの国内線ファーストクラスシートの改修と確認試験を小糸工業に指示。TCD発効日から3日以内に耐火性を改善するように指示した。その後国交省は小糸工業に出荷したすべてのシートの調査と安全性の再確認を指示し、2011年6月には10年後の今年7月末を最終期限とする安全基準への適合性の再確認を指示した。
JALは国内線ファーストクラスの小糸製シートを、2016年から2017年にかけて独ZIM製に換装。小糸製クラスJシートを積んだ機材のうち、運航中の737-800国内線仕様機13機は、2020年10月から今年7月までにZIM製シートに交換した。
小糸製シートを採用した日系航空会社からは、日本語でコミュニケーションできる点だけでなく、日本企業ならではシート作りを評価する声が聞かれた。しかし、世界から多くの受注を獲得する中で、長年築き上げてきたシェアを自らの手で競合他社に譲り渡す形になってしまった。
航空機機器や部品は製造基準や検査基準が厳しい上に、機体がリタイアするまでサポートが求められるなど、参入のハードルが非常に高く、参入に成功しても維持していくのが難しい。不正発覚で小糸製シートは姿を消してしまったが、日本企業で同じようなトラブルが起きないことを祈るばかりだ。