米ファイザー製と英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを接種した人たちにはいずれも、脳卒中と血栓の発症リスクが高まる可能性があると報告されている。
だが、それらのリスクは、接種を受けずに感染した場合の方が、はるかに高いとみられることが分かった。

英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された調査結果によると、これらの発症が体に及ぼす影響も、
ワクチンの副反応よりも感染の場合の方が、長期にわたって残っていたという。


イングランドで新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた2900万人以上に関するデータを分析したところ、
ファイザー製ワクチンの最初の接種を受けた後に虚血性脳卒中を起こす人は、1000万人当たり143人増えたが、感染の場合は同1699人増加していた。

また、アストラゼネカ製の1回目の接種後に、血栓性血小板減少症(まれな血液凝固)と静脈血栓症を起こした人はそれぞれ、
1000万人あたり107人、66人増えていた。感染後にこれらの発症が確認された人は、同934人、1万2614人の増加していた。

そのほか、ワクチン接種でリスクがもたらされる期間は比較的短いものの、感染によるリスクの影響は、
より長期間にわたって続いていたことも分かったという。

研究チームは、ワクチンによって血栓症のリスクが増す可能性はあるものの、感染リスクの大きさからみれば、
その危険性を引き下げるためのワクチン接種は重要であり、この結果はその重要性を強調するものだと述べている。


感染症が専門の元家庭医で、現在は感染症対策コンサルタントとして活動する英国医師会の公衆衛生学委員会の前委員長、
ピーター・イングリッシュは、この研究結果は「非常に重要なものだ」として、次のように述べている。

「感染すれば、(ワクチン接種が原因となって引き起こされる例は非常にまれである)これらの有害事象によって苦しむリスクが
はるかに高くなることを、明確に示す結果だ」
https://forbesjapan.com/articles/detail/43097