衆院選日程をめぐり、いずれも菅義偉首相(自民党総裁)に近い小泉進次郎環境相と森山裕国対委員長の発言に食い違いが目立つ。小泉氏は総裁選(17日告示、29日投開票)で「選ばれた人」が決めるよう主張。一方、森山氏は任期満了(10月21日)に伴う閣議決定による衆院選が基本線で、総裁選さなかの今月20日前後を唱える。側近の一致しない進言が、首相の政局対応がぶれる一因との見方もある。

 小泉氏は2日、首相官邸で首相と30分余り会談。この後、記者団に衆院選の日程について「いろんな声があるけど、菅首相は、総裁選で選ばれた人が決めるべきだと考えている」と語った。
 任期満了選挙の場合、首相が総裁選で敗れると「新総裁の解散権を縛る」との批判が党内にある。小泉氏はそうした懸念を代弁したとみられる。
 両氏が会うのは、この日で4日連続。小泉氏は月内解散について事前に首相から相談され、「総裁選の先送りは党員や国民の理解を得られない」と強く反対。「暴走気味」(党関係者)の首相を抑える役回りを演じた。
 これに対し、森山氏が今月20日前後の決定にこだわるのは、衆院選日程を早めに決めることで議員心理が浮き足立ち、総裁選で「反菅」運動をしにくくなるとの読みがあるようだ。2日には記者団に、総裁選後の決定は衆院選の投開票が任期満了後になる公算が大きいことを踏まえ、「党の活動(総裁選)で国政に影響を与えてはいけない」とけん制した。
 森山氏は、首相が模索した月内解散をめぐり、観測気球を打ち上げる役割を担ったとされる。首相は断念したとみられているが、この線をわずかながら残そうとしている可能性もある。森山氏と連携する加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、小泉氏の日程発言について「ご本人の考えを述べられた」として、首相の認識ではないと指摘した。
 与党内ではこの日、「首相が人事を断念した」「退陣の検討に入った」などとさまざまな臆測が飛び交った。だが、首相は午後、党本部で二階俊博幹事長に総裁選出馬の意向を伝達。首相官邸に戻り、会談の内容を問われた際、右手を挙げただけで何も語らなかった。

時事通信 2021年09月02日21時44分
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