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【東京パラリンピック2020】〈マラソン〉浅草の雷門前を力走するランナーら=5日午前、東京都台東区(納冨康撮影)

パラマラソン都心の名所疾走 一部で密集状態も「不可能はないんだ」感銘
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車いすや視覚障害、上肢障害など多様なクラスで実施された5日のマラソン。東京都心の名所をめぐるコースは当初、五輪でも使用する予定だったものの、猛暑対策で札幌に変更され、パラのみになった経緯がある。新型コロナウイルスの感染が拡大し、東京に緊急事態宣言が発令されている中の実施となり、大会組織委員会は観戦自粛を呼びかけたが、場所によっては多くの人が押し寄せ、人垣ができる「密」も生じていた。

スタート・ゴール地点の国立競技場に近い外苑西通りには、競技開始30分前の午前6時ごろからマラソンを一目見ようとした人々が集まり始めた。朝から雨が降り、肌寒さもあったが、傘をさしたり雨がっぱを着たりした人々が重なり合うような場所も。「感染予防のため観戦自粛をお願いします」と書かれたカードを首から下げたスタッフらが、「立ち止まらないでください」などと呼びかけた。

最初にスタートしたのは車いす男子のクラス。加速をつけた先頭の選手が通りに現れると、沿道から大きな拍手が上がった。続く視覚障害の選手らにも「頑張れ!」と声援が飛んだ。

折り返し地点となった台東区浅草の雷門前にも、多くの人が待ち構えていた。台東区に住む小学6年の男児(11)は、これまで障害者スポーツに関心がなかったが、テレビで競技を見て興味を持ったという。「直接、見たいと思った。やっぱりかっこいい。不可能はないんだと思った」と目を輝かせた。

東京タワーが近くにそびえる港区の芝公園付近にも沿道にずらりと観戦者の姿が。選手が通ると一斉にスマートフォンのシャッター音が鳴った。港区の会社員の女性(30)は「(視覚障害の)選手がガイドランナーと話しているのが聞こえてきて、一緒に記録を作っているのだなと感じた」と感銘を受けていた。

コースの形状上、選手を3回確認できる神保町の交差点。町田市の女性(78)は息子(52)とともにおにぎりを持参し、朝5時半に自宅を出た。感染不安もあったが2人ともワクチンを2回、接種し終えており、観戦を決めた。「選手はどれだけ努力したことか。私も若くはないが、もう少しがんばりたい」。女性はそう話した。

レース後半には、高級ブランド店や百貨店が立ち並ぶ中央区銀座の交差点付近を、金メダルを獲得した道下美里(44)が通過。開店前の店内から従業員が手を振ったり、写真を撮ったりする姿も見られた。

全ての選手が走り去ると、大会スタッフや警備員らは沿道などに設置していたフェンスやコーンを撤去。買い物客らでにぎわう、普段の銀座周辺の日曜日の風景に戻った。