厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだ効果で、65歳以上の高齢者の感染が、7〜8月に10万人以上抑制できた可能性があるとの試算をまとめた。8日に開かれた感染状況を分析する助言機関の会合で報告した。死亡者数は8000人以上減少させた可能性があるとしている。


 厚労省は、ワクチン接種が進んでいない65歳未満の感染者数の増加率を基に、高齢者の接種が進まなかった場合の7〜8月の感染者数を推計した。

 それによると、7月の高齢者の推定感染者数は2万7000人、8月は11万人となった。実際の感染者数は、7月が5900人、8月は2万4000人で、4分の1未満に抑えられた。死亡者数は7月と8月に、それぞれ1600人、6800人減ったと試算された。

 また、助言機関は、全国の感染状況について、「ほぼすべての地域で感染者数の減少が続いているが、重症者数は高止まりで医療提供体制が厳しい局面は継続している」との見解をまとめた。全国の9月1〜7日の新規感染者数は10万人で、1週前の14万人から大幅に減少した。その理由について、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は記者会見で、「気温の低下、ワクチン接種が進んできたことなど、複数の要因が考えられる」と述べた。

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210908-OYT1T50315/