アフガニスタン北東部パンジシール州にある故マスード司令官の墓の外観=2019年4月(共同)
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 アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが北東部パンジシール州に進攻した際、旧タリバン政権の宿敵だった国民的英雄、故マスード司令官の墓の一部を壊していたことが10日分かった。複数の地元住民が明らかにした。進攻で勢いづいたタリバン兵が、報復目的で壊した可能性がある。

 同州は司令官の出身地。息子アフマド・マスード氏率いる抵抗勢力が拠点とし、国内で唯一タリバンの支配が及んでいなかった。タリバンは6日に制圧を宣言したが抵抗勢力は降伏していない。

 墓が入るドーム型の建物は小高い丘にある。住民によると、タリバン兵は建物のガラスを割り、墓石の一部を壊した。

 司令官は米同時多発テロ2日前の2001年9月9日、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が送り込んだとされる2人組に暗殺された。毎年この日は国民の休日だったが、タリバンが取り消した。

 タリバンの同州制圧宣言後、首都カブールでは抵抗勢力への支援を表明する大規模デモが開かれ、タリバン兵が威嚇発砲して強制排除した。

 米国がテロ組織に指定する最強硬派「ハッカーニ・ネットワーク」指導者が管轄する内務省は8日「市民生活を混乱させている」として、デモを許可制にすると発表。違反者は「処罰される」と強く警告し、抵抗勢力の影響をそぐのに躍起だ。

 デモに参加した女性は「パンジシールには国際社会の支援が必要だ。規制されても声を上げ続ける」と強調した。(共同)

毎日新聞 2021/9/10 22:10(最終更新 9/10 22:11)
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