※2021/9/11 21:38

新型コロナウイルス禍の長期化で、せき止めや風邪薬などの市販薬を乱用する依存症が深刻化している。若者でも入手しやすく、いらだちや不安などを解消するために大量摂取するケースが増え、支援団体への相談も後を絶たない。専門家は「コロナ禍で他者とのつながりが希薄となり、孤立が深まることで、自殺者の増加など依存症問題が広がる可能性をはらんでいる」と危機感を強めている。

《一昨日は111錠飲んで昨日60錠今日60錠飲みました》《またOD(過剰服薬を意味するオーバードーズの略)しちゃった》

NPO法人「若者メンタルサポート協会」(東京都渋谷区)の岡田沙織理事長の無料通話アプリ「LINE(ライン)」には、10代の若者たちの悲痛な叫びが次々と送られてくる。

24時間体制で無料相談に応じる同協会には、多い月で3〜4万通のメッセージが届く。いじめ、虐待、性被害など多岐にわたる相談内容の中で、市販薬依存関連がコロナ禍前より1・5倍ほど増加した。岡田さんは「自粛生活で親のストレスが子供にぶつけられ、外にも家にも居場所がない。自室にこもり、市販薬を過剰摂取しても親や周囲にばれにくく、手を出しやすい環境ができてしまった」と指摘する。

市販薬の過剰摂取の背景には、死にたいと強く思う「希死念慮(きしねんりょ)」がある。実際に自傷行為や摂食障害などの問題を抱えた子供も多く、岡田さんは「過剰摂取で意識がもうろうとしたり、理性を失ったりし、自殺につながってしまうこともある」と警戒する。

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「『体が楽になるよ』と友人に勧められ、せき止め液を一気飲みした。最初は遊び半分だった」。薬物依存症の回復を支援するリハビリ施設「八王子ダルク」で生活支援員を務める男性(49)は20歳から20年間、せき止め液の乱用を続けていたと打ち明ける。

集中したいときや、眠気覚ましに服用するようになり、常習化。多い日は2時間置きに2本ずつ服用することもあった。「薬が切れると、落ち込んだり、逆にイライラしたり、体に虫がはう感覚になることもあった。薬を飲んでいるときだけ、普通になれた」

気分の浮き沈みが激しくなり、自殺未遂も繰り返すようになった男性は、治療を受けながらダルクに入所。依存症を克服した現在は経験者の立場から、依存症患者を支援している。

埼玉県立精神医療センターの成瀬暢也副院長によると、若年ほど依存症に陥りやすく、周囲に相談できないまま「孤独な自己治療」として薬物を使用し、いらだちや不安を解消。繰り返すことで耐性ができ、数量が増えていくという。

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産経ニュース: 若者襲う市販薬依存 せき止め100錠乱用も.
https://www.sankei.com/article/20210911-PCXV3HUDTNLZXN2I6DQXOTZVDU/