新型コロナ後遺症 現時点で分かっていること

忽那賢志感染症専門医
9/12(日) 11:05

新型コロナウイルスに感染した後、1ヶ月以上症状が続くことがあり「後遺症」と呼ばれています。
現時点で後遺症について分かっていることについてご紹介します。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210912-00257800

新型コロナ後遺症の症状には、発熱や咳などのある急性期から続く症状と、経過の途中から出現する症状とがあります。
新型コロナ後遺症としてみられる症状には、

呼吸器症状:咳、痰、息苦しさ、胸の痛み

全身症状:倦怠感、関節痛、筋肉痛、しびれ

精神・神経症状:記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ

消化器症状:下痢、腹痛

脱毛

動悸

味覚障害・嗅覚障害

などがあります。
その他、発症から6ヶ月後まで脳梗塞、脳出血のリスクが高くなるとも言われています。

新型コロナ後遺症の頻度は?

診断後から退院時まで、3ヶ月後、6ヶ月後にみられた症状の頻度(厚生労働科学研究. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究(福永班)より)
診断後から退院時まで、3ヶ月後、6ヶ月後にみられた症状の頻度(厚生労働科学研究. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究(福永班)より)
新型コロナ後遺症の頻度は報告によってはばらつきがありますが、日本からの報告としては、慶応大学での調査があります。
この報告では、診断〜退院時、診断後3ヶ月、6ヶ月経過した時点での症状の頻度の調査をしています。
報告によると、診断から3ヶ月経過した後も1割以上の人にみられた症状は、疲労感・倦怠感、息苦しさ、脱毛、嗅覚障害、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下でした。このうち疲労感・倦怠感、息苦しさ、脱毛、睡眠障害、思考力・集中力の低下は6ヶ月後も1割以上の人に残っていました。
大阪府新型コロナ受診相談センターに相談のあった後遺症の症状の頻度と重症度(第58回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議 大阪府新型コロナウイルス感染症 後遺症への対応について)
大阪府新型コロナ受診相談センターに相談のあった後遺症の症状の頻度と重症度(第58回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議 大阪府新型コロナウイルス感染症 後遺症への対応について)
大阪府は、新型コロナ後遺症の相談窓口を設置し、医療機関の紹介などを行う取り組みが開始されていますが、この大阪府新型コロナ受診相談センターに相談のあった後遺症の症状として頻度が高かったのは、倦怠感、嗅覚障害、味覚障害、脱毛、呼吸苦、微熱・発熱、うつ・気分の落ち込み、咳、頭痛、不眠、集中力・記憶力低下、体の痛み、動悸、めまいでした。

新型コロナ後遺症の持続期間は?

前述の日本での調査のように、

https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-yn/rpr/kutsunasatoshi/00257800/image-1631407848925.jpeg